2020-02-18に投稿

些細なゲーム内行為が物語の結末に影響を与える ゲームの開発

ごあいさつ

こんにちは、この記事は僕が大学で研究した作品について書いたもの、つまり卒業論文相当の記事です。なぜここで書いているのかというと、様々な方々の目に映ることで研究することに対して興味を持ってもらえたらと思ってここに記事として載せました。

はじめに

 皆さんはアドベンチャーゲーム(ADV)を遊んだ経験はありますか?ADVゲームと言っても今ではたくさんの種類がありますよね、僕が初めてプレイしたADVゲームはPS4で買ったアンティルドーン惨劇の山荘というゲームです。皆さんも名前ぐらいは聞いたことあるかもしれません。このゲームをプレイすることが僕にとって、ADVゲームに興味を持つきっかけになりました。そして、様々な作品をプレイしたことによって選択肢を用いてゲームを進めていくADVゲームが多いことに気づきました。なので、僕はADVゲームでよく用いられることの多い選択肢というものを使わない上で今までにはなかった物語の新しい分岐方法を用いたゲーム作品の制作を考えました。

選択項目からの選択ではない物語の分岐

 選択肢を選ぶことがエンディングに直接繋がらないゲーム作品は既にあるため、その作品を踏まえて自分のゲーム作品を説明したいと思い2つほど例を紹介していきます。
1つ目はアンダーテイルというものです。かなり有名なので名前を知っているだけではなくプレイしている方もいるかもしれません。ゲームジャンルとしてはRPGとなっていて、敵キャラクターを次々と倒していき物語を進めるゲームなのですが、アンダーテイルはRPGでありながらも敵との戦闘では他の作品とは全く異なっているスタイルなのが特徴なのと敵と思われるキャラクターなのにも関わらずいかにも倒さないでほしいと言わんばかりの台詞を言ってくるため非常に考え深いシーンがたくさんあります。アンダーテイルにおいてのエンディングへの分岐の仕方は戦闘で敵となるキャラクターを倒すか倒さないかという風になっており、倒したくないけどエンディング回収のためには倒さないといけない、というような風にプレイヤーを強く揺さぶってくるのが何とも言えない辛さがあります。このゲームはsteamにて有料で販売されています。

2つ目のゲーム作品はHome comingです。このゲームはフリームというサイトに投稿されているゲーム作品です。有名な作品ではありませんが、僕がフリームというサイトに投稿されているゲームをプレイしていたことで見つけられた作品なので、例に挙げようと思いました。ゲームのジャンルとしてはノベルゲームとなっていて、エンディングの分岐の仕方についてはデータのセーブをした回数で決まる仕組みとなっています。こちらのゲームは無料なので機会があればやってみて下さい。

結果

制作した作品は「RPGツクールMV」を用いて制作しました。ゲームジャンルはアドベンチャーゲームとなり、ゲーム画面上のプレイヤーキャラクターを移動させ,物を調べたり,誰かに話しかけたりなどをして物語を進めるような遊び方の作品となります。gameplay.png

新たな分岐方法の模索と施行

 今回僕が新たな物語の分岐方法を考えるに至るまでには相当な時間がかかった訳ではなく、意外にもあっさりと思いついたことで模索をすることへの時間の負担をあまりかけずに済むことができました。ただ、模索をするための時間はかからなかったものの、新たな分岐方法の具体的な部分を考えるのに苦労しました。僕が考えた新たな物語の分岐方法は何気ないゲーム内行為というものです。何気ないゲーム内行為というのは物語の分岐に影響しないだろうと思ってしまうような要素であることに加え,それが目立つような行為ではなく,誰もが考えなしについ,やってしまうような些細な行為のことになります。

物語の分岐に影響するゲーム内行為

制作した作品で 、物語の分岐に影響するゲーム内行為として、「つい,やってしまう行為」と「あえてやろうとしない行為」の二種類に分けました。そして今回は以下のものをゲーム作品に取り入れることにしました。

・つい、やってしまう行為
 ◦NPCに話しかける
 ◦ゲームデータをセーブをする
 ◦使えそうな道具を使用する
・あえてやろうとはしない行為
 ◦鍵のかかったドアの鍵を開け、あとから鍵は閉める
 ◦拾ったアイテムを元の位置に戻す
 
 合計で5つの何気ない行為を考えて、それらを制作したゲームに取り入れました。ゲームのエンディング種類としては3つとなっていて、バットエンディングとノーマルエンディングとトゥルーエンディングとなります。バッドエンディングは主にゲームオーバーなってしまうことと何もしなかったことによって良くないことになるものとなっていて、ついやってしまう行為をしてしまうとバットエンディングに導かれてしまい、あえてやろうとしない行為に関しては言葉の通りしないまま放置してしまうとバッドエンディングとなってしまいます。つい、やってしまう行為についてはやらない意思決定が必要となり、あえてやろうとはしない行為は逆にやらなければいけないです。

物語のエンディング

先ほど説明したことを踏まえて、エンディングまでの道のりを説明していきたいと思います。image.png
学校に入ると上記のようになっていて、下にいくと学校から出られるのですが、
何もせずそのまま出ると下記のようなテキストが表示されてバッドエンディングとなりタイトル画面へと戻ることになります。

image.png
このエンディングを回避するには理科室へ行く必要があり、下記の画像が理科室となります。

image.png
理科室の右上にあるバケツを拾い女のキャラクターが立っているこのすぐ近くにある水道を使って水を入れて元の場所に置き直してこの理科室の鍵を閉めて玄関から外へ出るとエンディングはノーマルにたどり着くことができます。そして、バケツに水を入れて元に戻す行為だけの場合では正しく解決されずに違うバッドエンディングに向かい、記述は別なものになります。ここまででエンディングが3つ用意されています。

次はトゥルーのエンドを回収についてです。先ほど載せた理科室のマップには光っている場所がありこれはアイテムなのですが、これを手に入れる必要がありますが、そのままでは届かずに取れないので、何かに乗らなければいけません、如何にも使えそうな机があるのですが机を使ってアイテムを拾って机から降りようとすると、テキストに書かれているように、バランスを崩して落ちてしまうという風になります。設定的には幽霊が入ってきた3人に対して怒っているので、呪いがかかっている机を使ってしまったというような設定になります。回避するためには二つ下のマップで主人公の左にある椅子を使います。
image.png
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椅子を使って先ほどと同じようにアイテムを拾って降ります。この椅子を使っても死なない理由としては、幽霊にとって思い入れのある椅子なので、呪いがかかっていないという設定です。このアイテムを幽霊のところにもっていくことで、トゥルーエンドとなります。
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何も持たずに、話をかけると死んでしまうのですが、先ほど取ったアイテムを持って話をかけると幽霊に何かを言われて主人公は気を失い、気づいたら家にいて他の2人は何も覚えていないという風になります。幽霊はこのアイテムを探していたのですが、見つけられないためそのアイテムを主人公が見つけて渡すという必要があった。という風になります。主人公は1階の右廊下にもいますが、そこで話をかけても意味はありません。アイテムを見つけることに必死で主人公がアイテムを持っていることに気づかないという理由です。2階にいるのはアイテムを探したけど疲れたため、2階の左にある教室で休憩しているという風になります。だからアイテムをしっかり渡すことができます。次に保健室のバッドエンドを説明していきます。
image.png
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玄関のところの廊下で職員室と2階に上がる階段があるのですが、その間の通路を通ると右に保健室があります。そこでは、メニューではできないセーブができるようになっているのですが、セーブをしてしまうと話が勝手に進んでいくのですが、主人公が少し休もうとしてしまい幽霊に殺されてしまいます。このゲームではそもそもセーブはできないというのがここで初めてわかります。注意としてはセーブからプレイしようとするとバッドエンドの会話のところからスタートしてしまうので、セーブからスタートすることはできません。これで5つのエンドとなります。

ヒントと推理

 良くない結末となってしまった場合は,なぜそのような事になってしまったのかをフィクション上の出来事として説明して,どうすれば良い結末とできるのかを推理するためのヒントを与えるようにしました。

物語の概要

 本作品の物語は「幽霊が出ると噂されている廃校舎に3人の男女が向かい,廃校舎を探索し,そこで起きる不可解なことを解き明かしていく」というあらすじである。良くない結末となるパターンでは,幽霊の怒りに触れてしまい,プレイヤーキャラクターは何も問題を解決できぬまま,という結末を迎える。良い結末となるパターンでは,プレイヤーキャラクターたちが幽霊が望んでいたことを叶えることで,平和的な結末を迎える。

得られた感想

 本作品を3名の大学生に試遊をしてもらった。プレイヤーは想定通りの行動を取り,狙い通り,一度の試遊では物語を良い結末に導けない結果となった。ヒントの提示により,2回目以降の試遊で,良くない結末となるパターンを回避できるようにはなっていた。しかし,罠の箇所によっては,なぜ良くない結末となったのかに納得してもらえない場面や,罠を回避するための方法を見つけるまでに多く時間を要した場面があった。

考察と課題

 本研究で制作した作品によって,プレイヤーの想定外の事態による驚きを与えることには成功していたが,その結末に納得してもらうことや,回避方法を見つけてもらうヒントの提示には,とても慎重にデザインしなければいけないという知見が得られた。

感想

 今回は僕があまり上手く考えることができなかったので、何気ない行為という物につながることを色々な人の意見を貰って作品を制作することができました。他にもつい、やってしまう行為やあえてやろうとはしない行為になるものはたくさんあると思います。そして、そのアイディアは面白いものがまだまだあると思うので他のストーリーにするとそれに合うアイディアとストーリーが出来て面白い作品になると思えます。そして、ゲームに対して新しい何かを加えて制作してみようと考えたことは僕の中では一番の挑戦で良かったことだと思いました。上手くいったかどうかというのは、正直自分の中では成功とは言えないです。それは自分のやろうとしたことが難しかったこともありますが、僕1人でのゲーム制作が初めてだったということもあります。経験が足りなかったと思いました。これを機にこれからもゲーム制作をやっていきたいと思います。長かったと思われますが、ありがとうございました。

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