2012/2/15
原子力安全委員長
班目春樹
平成二十四年二月十五日(水曜日)
於衆議院第十六委員室
午後一時三十分開会
出席者
委員長黒川清君
石橋克彦君
大島賢三君
崎山比早子君
櫻井正史君
田中耕一君
田中三彦君
野村修也君
蜂須賀子君
横山禎徳君
参考人
(原子力安全委員会委員長)班目春樹君
東京電力福島原子力発電所事故調査委員会会議録第四号
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(黒川)時間が参りました国会による東京電力福島原子力発電所事故調査委員会、通称国会事故調と言っておりますが、
(黒川)経済学、公共政策が御専門の八田達夫先生の三人が任命されましたので、御報告いたします。
(黒川)それでは、異議なしと認め、そのように進めさせていただきます。ありがとうございます。
(黒川)それでは、きょうの三、四に入りたいと思っております。
(黒川)まず、原子力安全委員会に関する質疑応答ということで、本日の参考人との質疑応答を開始しようと思っております。本日は、原子力安全委員会の班目委員長、それから、原子力安全・保安院の
(黒川)また、今後の原子力安全のあり方について等について、有意義な議論をさせていただければと思っております。まず、原子力安全委員会について、班目春樹原子力安全委員会委員長にお願いいたします。
(黒川)過去の原子力安全委員会の活動についてどのように総括されていらっしゃるのでしょうか、まずお聞かせください。
(黒川)そうすると、やはりそういうことを、先生も御専門の立場ですから、特に低いところにあるディーゼルエンジンなんかもそうですけれども、想定されなかったんでしょうか。
(班目春樹)このあたりに問題の根っこがあるのではないかというふうに私自身は考えてございます。
(黒川)その何となく難しいというのは、先生の御経験だとどういうところにあるんでしょうか、具体的には。
(班目春樹)自分の任期の間に終わらない。そうすると、ややもすると、そういう大きな問題に手を出さないで、それで、いかにそういうことを議論しなくてもいいかということの説明ばかりやればいいと。
(班目春樹)日本の公務員制度というのは、基本的に加点方式ではなくて減点法だと思いますので、そういう制度をとっている限りは、なかなかそこは深掘りができないんじゃないかというふうに思っております。
(班目春樹)私は、我が国の場合、もっと事業者の責任というのを強く求めるべきだというふうに思っております。そして、事業者と規制当局との間に、これはIAEAなんかの安全基準にも書いてございますが、
(班目春樹)まさに、フランクでオープンで、それでいてフォーマルなちゃんとしたコミュニケーションがなされなければいけない。
(班目春樹)そこがどうもうまくいっていない。ややもすると、護送船団方式といいますか、一番低い安全基準か何かを電力会社が提案すると、何となくそれを規制当局としてはのんでしまう。
(班目春樹)やはり、本来安全確保の一義的責任は、あくまでも電力会社にあります。したがって、電力会社は、国がどういう基準を示そうと、その基準をはるかに超える安全性を目指さなければいけないんです。
(班目春樹)それの先の防御対策が何重にもなされているべきである。
(班目春樹)大きな地震の発生があり得るという知見が出ていたわけです。
(班目春樹)それなのに、それに対する対応が遅れたということについても、
(野村)今日は大変貴重なご発言をいただきまして、ありがとうございます。
(野村)委員長とのやり取りの中でお伺いしたことがあるのですが、
(野村)あるいは事業者の方が本来一時的な責任を負うべきだと、
(野村)ということのご発言、確かにその通りだと思うのですが、
(野村)かつて発電機を2台設けるべきではないかということが、
(野村)そもそも原発の設計などはできないというようなことを、
(野村)あるいは国会でもそういうご発言をされたという記録が、
(班目春樹)発電機というのは、たぶんディーゼル発電機だと思いますが、
(班目春樹)ディーゼル発電機は複数台用意しなければいけない。
(班目春樹)どれだけの洪水まで考えなければいけないかという、
(班目春樹)ただし、想定を超えた場合も考えておかなければならない。
(班目春樹)そういう意味での割り切りは必要だと言っていると思いますが、
(班目春樹)今度はそれを超えたときのことについても考えておく。
(班目春樹)これが多重防護、ディフェンスインデプスということでございます。
(班目春樹)そういうところまで考えなさいよと言っているところ、
(野村)事故後の対応について、少しお伺いしたいんですけれども、
(野村)できていなかったというご発言をされていると思うんですけれども、
(班目春樹)緊急助言組織というのを立ち上げることになってございます。
(班目春樹)一斉携帯メールシステムを使って、非常召集をかけたんです。
(班目春樹)その召集は、実は私自身の携帯にも届かなければいけないんですが、
(班目春樹)結局、こういう場合にこうする、ああするということを、
(班目春樹)したがって、そこは、実は電話もなかなか通じなくて、
(班目春樹)助言組織はなかなか立ち上げられなかったんですが、
(班目春樹)そういう意味では、こういう緊急時に対する想定というのは、
(班目春樹)不十分であったというふうに、つくづく感じております。
(野村)そうはいいながらも、原子力災害対策特別措置法に基づいて、
(野村)委員長自身は、総理、その当時の災害対策本部長に対して、
(野村)技術的な助言をされるという役目を果たされたわけでありますけれども、
(野村)今になって思うと、もう少し助言するべき点があったんじゃないかということが、
(野村)もしお気づきの点がありましたら、教えていただければと思います。
(班目春樹)現状がどうなっているかという情報がないとできないんです。
(班目春樹)携帯電話も通じない場所で、情報がほとんど入ってこないんです。
(班目春樹)そういう場でできる助言というのは、もう限界だったのではないかと、
(班目春樹)ただ、実際問題として、私はあの頃1週間以上ほとんど寝ていませんので、
(班目春樹)どういう助言をしたのかというのも、正確には覚えていないという状況ですので、
(野村)今おっしゃられたのは、官邸の5階におられたということでよろしいですか。
(班目春樹)いえ、私はずっと、少なくても11日の9時の時点から、
(班目春樹)夜の9時ですね、からヘリコプターで飛び立つまでは、
(班目春樹)私の記憶では、官邸の地下にある危機管理センターの中2階という応接室、
(野村)その中2階におられる、あるいはその後は5階に移られたということでよろしいですか。
(班目春樹)はい、現地にヘリコプターで飛んで帰ってきて、一旦、4階に帰っていますけれども、
(野村)その中2階なしは5階で、さまざまなことが決定されたと思うんですけれども、
(野村)ご記憶のある限りで結構なんですが、3月11日から12日午後にかけまして、
(野村)そこで重要な決定として覚えておられることというのは、どんなことがありますでしょうか。
(班目春樹)先ほどもちょっと申しましたように、私は本当に記憶がほとんど生の形では残っていない。
(班目春樹)それで、その後、例えば政府事故庁の報告書とか、東電の報告書とか、
(班目春樹)いろんなのを読んだり、あるいは安全委員会の他の人と話したりで、
(班目春樹)だいぶ補いつつあってできているので、絶対こうだったという自信はございません。
(班目春樹)しかし、私が最も確からしいことで申しますと、まずは11日ですけれども、
(班目春樹)2時46分の地震後、5時半ごろに官邸に向かっていると思います。
(班目春樹)それで、どうも会議室の前で待っていても、なかなか会議が始まらないなといったところに、
(班目春樹)多分、保安院の平岡次長か何かにちょっと助けてくださいと言って、
(班目春樹)一度呼ばれて、総理のところに行っているんじゃないかという気がします。
(班目春樹)とにかく電源車を運んでほしいという話になっていて、
(班目春樹)これは電源の問題なんですということにすでになっていたと思います。
(班目春樹)それからずっと今度は原子力災害対策本部が立ち上がるまでまたずいぶん待たされて、
(班目春樹)それが終わった後、一旦私自身は安全委員会のある4号館の方に戻ってございます。
(班目春樹)9時になってから、再びぜひ来てくれということで、
(班目春樹)今度は官邸地下の危機管理センターの中二階の方にこもったわけです。
(班目春樹)その時までには、今度はそこでいわゆる全交流電源喪失どころではなくて、
(班目春樹)直流電源もなくなっているんだという事態を知って、
(班目春樹)そうなると、要するに圧力を下げて、消防自動車でも何でもいいから何か使って水をかけるしか、
(班目春樹)東京電力の竹黒フェローがそこにいらっしゃいましたので、
(班目春樹)武黒フェローと相談しながらそういう助言をしたわけです。
(班目春樹)我々は東京電力という一位プライベートカンパニーから、
(班目春樹)こうしてくれ、自衛隊を使って何かやってくれと頼まれても、
(班目春樹)お前の口からいろいろ助言を聞きたいんだと言われたことだけは、
(班目春樹)それで、もうこれは圧力容器の圧を下げるということは、
(班目春樹)格納容器ベントをするというのは、もちろん住民の非難が大前提になりますので、
(班目春樹)というようなことで、格納容器ベントについての助言を行った。
(班目春樹)その後、格納容器の圧が上がっていますとか、いろいろあって、
(班目春樹)とにかくベントを急いでくださいと言った後、最後はヘリコプターに乗るまで、
(班目春樹)何を言っていたかとなると、正確なところはほとんど覚えていないというのは実情です。
(野村)今ベントの話が出てきたんですが、ベントについての技術的な説明を行われたのは、
(班目春樹)多分私の口から、ベントというのはこういうものです。
(班目春樹)ベントということで世の中に通ってしまっていますけれども、
(班目春樹)これはあくまでも、圧力容器の燃料に水を入れるのが目的ですので、
(班目春樹)そのためには、しかし最終的には格納容器の圧を下げるためのベントをしなければいけない、
(班目春樹)一生懸命その辺の解説をしていただろうと思います。
(野村)海水注入をすると再臨界の可能性はゼロとは言えないというふうにご発言されたと、
(野村)この発言自身は真実というふうに受け止めてよろしいでしょうか。
(班目春樹)私の方から再臨界の可能性についてまでも言わないだろうと思います。
(班目春樹)真水を入れるよりも、塩水の方が可能性が低くなりますので、
(班目春樹)第2点として、再臨界の可能性があるかと聞かれたら、
(班目春樹)温度が下がっていくと、再臨界の可能性というのはゼロじゃないんです。
(班目春樹)ですから、私自身、そういう発言をしたかどうかという記憶は全くないけれども、
(野村)委員長の周りでまさに海水注入が行われていたわけですけれども、
(野村)そのとき委員長自身は、海水注入をすべきだというお考えだったですか、
(班目春樹)もちろん海水でも何でもいいから水を注ぎ込むべきである。
(班目春樹)当然海水で結構ですから注入してくださいと言い続けていたと思います。
(野村)1号機の水素爆発が起こりました後に、官房長官は記者会見で、
(野村)したがって直ちに影響はないという発言をされておられるんですけれども、
(野村)このご発言について、もし窓辺委員長その当時のことをご記憶がありましたら、
(野村)その当時どう思っておられたのか、そして今思えばこの発言は正しかったというふうにお考えでしょうか。
(班目春樹)枝野当時の官房長官の発言に対して私が何かサジェクションしたことはないと思います。
(班目春樹)というのは、実は聞いたときに、直ちに影響がないというと、
(班目春樹)万発性のいわゆる癌の影響はあると言っているように聞こえるので、
(班目春樹)ですから多分私のサジェクションはしていないと思います。
(班目春樹)それから私自身があの水素爆発のシーンを見てどう思ったかというと、
(班目春樹)しかしあるところでずっとさちっていたということは漏れていたに違いない、当たり前だよね、
(班目春樹)ということは爆発を考えなきゃいけなかったんだと、ほとんど瞬間に思っています。
(班目春樹)実は一号機の爆発はオペレーションフロアの上の方だけがすっ飛んでいますので、
(班目春樹)東京電力が大変なことになっているとは言ってきていないなということで、
(班目春樹)こんなことを言ったら大変よくないことなのかもしれませんけれども、
(野村)すみません、あと一点だけ、先ほども最後と申し上げた恐縮ですけれども、
(野村)ちょっとベントに戻って恐縮なんですが、ベントの際に放射性物質が放出されるわけですけれども、
(野村)その放出量でありますとか被曝量についての評価、助言というのを行ったのも委員長でいらっしゃいますでしょうか。
(班目春樹)いえ、ほとんど記憶がないんですが、これは実は時間とともに変わってきています。
(班目春樹)一番最初、夜の9時過ぎだったと思いますけれども、
(班目春樹)実際まだその頃どうも溶け出した頃じゃないかと思っていますので、
(班目春樹)ベントをしても放射性物質は大して放出されていないと思っています。
(班目春樹)これが時間が経つにつれて、これはもう炉心は溶けているかなと思い出しているわけですね。
(班目春樹)でも他に手段がないなということで、だんだん危機感だけは高まっていっているという状況です。
(班目春樹)その炉心が溶けたかなというふうにお考えになったら、
(班目春樹)格納容器の圧力が設計圧力の1.5倍ですとか2倍ですとかという話が入ってきた頃に、
(班目春樹)そうだろうなというふうな思いがちらっと頭をかすめたような気がします。
(黒川)先ほどちょっと私最後に、安全委員会の指針にかかわらず海外でいろいろなことが起こっていて、
(黒川)リスクを少なくするようなことをされていると言われましたよね。
(黒川)なんとか雰囲気で、なんとかいいかという話があったんですけれども、
(黒川)委員はそれは一義的に、事業者がちゃんと責任を持って常に向上をしなくちゃいけないことだとおっしゃいましたけれども、
(黒川)事業者がやっているかやっていないか、自発的にやっていること。
(黒川)それは投資家ですかね、株主ですかね、保安委員の責任はどうなのか。
(班目春樹)ですからやっぱり日本の規制制度が、国がとにかく基準を定めなさい。
(班目春樹)これをクリアしていたらもう文句言わないでください、というふうになっていること自体が問題で、
(班目春樹)今度初めていわゆるストレステスト、総合的安全評価という形で、
(班目春樹)国の基準はここまでだけども、それを超えてどれだけ努力しているかというのも見るような制度が入ってくるんだろうと思っています。
(班目春樹)そういう制度をどんどんどんどん入れないと、なかなか事業者は努力を怠ってしまいがちで、
(班目春樹)このあたりをしっかり改善するべきだと私は思っています。
(黒川)それでは事故後の対応についていくつか、櫻井委員から伺わせていただきます。
(櫻井)委員の櫻井でございます。若干細かいことをお聞きするようなことになるかもしれません。
(櫻井)今、委員長の方が大変、当時混乱しておられて、記憶がなかなか混乱しておられるということを伺いまして、
(櫻井)私もよく理解した上で、あえて聞かせていただきたいのですが、
(櫻井)先ほどベントとの関係で、住民の避難ということを委員長おっしゃいましたけれども、
(櫻井)住民の避難とかについて、官邸のいわゆる5階なのか、あるいは地下の12階なのか、場所は限定しませんが、
(櫻井)どんなことが決められるまでに話し合われた、どのような方がどのような意見を言われたということについて、
(班目春樹)私はどうも、一旦4号館に戻った8時から9時の間に、福島県が2キロ避難の指示を出したとかという情報を得てから、官邸に向かっているみたいです。
(班目春樹)官邸で3キロ避難でどうかと聞かれて、それで結構ですから、ぜひそのようにしてくださいと答えたのではないかと思います。
(班目春樹)したがって、3キロ避難という決定がどういう形でなされたかということは、私自身は承知しておりません。
(班目春樹)ただ、原子力安全委員会では、実はEPZの見直しで、PAZと言っていますけれども、
(班目春樹)Precautionary Action Zoneという、とにかく非常事態になったら、何が何でもパッと逃げてくださいというゾーンを決めようという議論を始めようとしていたところです。
(班目春樹)3キロと聞いたらば、何となくそれが頭に浮かんで、それで結構ですから、ぜひと言ったような気がします。
(櫻井)くどいようですが、3キロでOKと理解されたというのも、少し気持ちの根拠、そのときに頭に浮かんだことは、例えばどういうものがあってですか。
(班目春樹)いろいろな3キロという根拠はあるんですけれども、委員長はその辺はどのあたりのところを。
(班目春樹)ですから、その時点では、私はまだ原子炉は、炉心は溶けていないと思っているんですね。
(班目春樹)しかしながら、ベントをしてくださいと言っているわけです。
(班目春樹)ベントというのはまさに放射性物質を意図的に外部に出す操作ですから、これは当然、近くにいる方には避難していただかなきゃいけない。
(班目春樹)国際的にどうなっているかというのを、たまたま議論をやっていたので、よく知っていたので、それにのっとった方針であるなということで、結構な方向だと思ったのではないかと思います。
毎年のように総合避難訓練というのをやられておりますが、そのときはどんな形でその避難区域というのは決定されて、シミュレーションですけれど、あれは訓練ですか。
(班目春樹)本来やっている訓練のときには、まさにERSSという原子炉の状態がどうなっているかというデータが次々に送られてきて、
(班目春樹)それをさらにスピーディという放射性物質の拡散予測モデルに入れて、それでそういうのを見ながら判断するという、そういうシナリオになっています。
(班目春樹)しかしながら、例えばスピーディの計算を1つとったって1時間はかかるわけで、今回のような事象にはとても間に合うような計画にはなっていなかった。
(班目春樹)やはりそういう予測計算などに頼ったような避難計画を立てたこと自体が間違いであって、発電所の方で大変なことになっているという宣言があったら、
(班目春樹)直ちにすぐそばの方にはもう避難していただくというルールにしておくべきものであるというふうに考えてございます。
(班目春樹)この辺は現在、原子力安全委員会の方で防災指針の見直しをやってまして、その辺の議論を既に詰めているところでございます。
(櫻井)委員長のお考えはよくわかりましたけど、他の方から、今委員長の口からスピーディという言葉がお出になりましたが、委員長以外の方がスピーディはどうなっているんだとか、
そういうようなご発言というのは委員長以外どなたかありましたでしょうか。
(班目春樹)当時の官邸に私がいる間にスピーディという言葉を聞いた記憶は全くございません。
(櫻井)委員長、今、ERSSのことを言われましたけど、私どもの理解ではスピーディというのは本来予測のためのもので、
(櫻井)その予測をすることによって住民の避難の範囲とか、避難される方向というものを、一つの要素かもしれませんが、
(櫻井)そのときの参考資料にするために作られているシステムと、私は理解しておりますが、そういう理解でよろしいでしょうか。
(班目春樹)建前上そういうことになっていた。不可能だと私は思いますが。
(班目春樹)今回もまだなかなかご理解いただいていないのですが、スピーディが生きていたらば、もうちょっとうまく避難できたというのは全くの誤解でございます。
(班目春樹)というのは、発災時の3月11日から14日ぐらいまでほとんど海に向かって吹いていまして、むしろ安心していいような風向きだったのです。
(班目春樹)それが15日になりまして、一旦南に行って、ぐるっと西の方を回って、北に行って、また戻ってきて北西方向に行って、という風向きなんです。
(班目春樹)これがたまたま北西方向に向かったときに、そちら方向で雨が降ってしまった。
(班目春樹)これに従って現在、飯舘の方までかなり土壌が汚染されてしまったわけでして、スピーディをもう1回使って当時のことを再現していただくと、
(班目春樹)これを使ってどうやって逃げろという結果になるか?というのは明らかですので、
(班目春樹)ぜひその辺は追実験して、スピーディの実力というのはこんなもんだということをご理解いただきたいと思います。
(班目春樹)原子力完全委員会の方で、まさに逆算して、現状に合うように一生懸命入力データを調整してみたら、
(班目春樹)たまたま現象が説明できるという図だけを先に示してしまったものですから、
(班目春樹)あれがあれば逃げる方向間違いないですんだというふうに皆さんが思っていらっしゃるとしたら、これははっきり間違いですので、
(班目春樹)ぜひしっかりとした説明をさせていただきたいと思っております。
(櫻井)委員長の今の、今回についてのご説明というのは、今伺っていたところでありますけれども、
(櫻井)結果的にそういうことであるのかもしれませんが、そもそも建前はと委員長がおっしゃられましたけれども、
(櫻井)先ほど私が申し上げたようにスピーディというのは、本来使ってみるためのものでなかったのでしょうかと、
(櫻井)結果的にそれでですね、住民避難にプラスになったとかプラスにならないかという観点ではなくて、
(櫻井)何はともあれそういうツールがあるんだから、あらゆるツールを使って少しでも何かを考えていくというようなお考えはいかがでしょうか。
(班目春樹)これはおっしゃるとおりです。スピーディというのが、確かにその時点では天気予報に過ぎないものではありますけれども、
(班目春樹)発電所からどういう風が吹いているかということをきちっとその時点その時点では示しているものですから、
(班目春樹)これは当然公開はされて然るべきものであったというふうに思っております。
(櫻井)今その時点とおっしゃいましたけど、細かい話で申し上げたいんですけど、
(櫻井)予測機能というのがご承知のとおり、もう委員長も十分ご承知のとおり、
(櫻井)現段階だけではなくてですね、今風が回っておられたということですが、
(櫻井)使い方によってはその雨の時期、方向ということもスピーディで何時間か先まで予測することは可能なわけですね。
(櫻井)そうしますと委員長は今回のようなケース、簡単に言うとESS、
(櫻井)情報が十分でない時にはスピーディは機能しないだろうとまとめるとそういうご見解。
(櫻井)データがない場合に単位量で入れるということになっておりますね、マニュアル上は。
(櫻井)その辺についてのお考えは、評価というのはどんなふうに考えていますか。
(班目春樹)事実、単位量でずっと原子力安全技術センターの方では計算していたわけですので、
(班目春樹)これは当然逐一公表されるべきものであっただろうというふうには思っております。
(櫻井)その図、わかりやすく言うと図になるんですけど、それについては委員長の下には届いておられましたでしょうか。
(班目春樹)少なくとも官邸にいたときには全くそれを見た覚えはございません。
(櫻井)これからスピーディーをどうするかということについて、ご検討されているということですが、
(櫻井)よろしければその辺をどんなご検討を今されているかということをもう少し説明していただけるとありがたいです。
(班目春樹)まず、避難区域の設定においては、スピーディーはあくまでも参考情報であって、
(班目春樹)もうちょっとプラント状況を踏まえた決定と、さらにはモニタリングといいますか、
(班目春樹)放射線量の実測に基づいた決定というのを主とすべきだと思っています。
(班目春樹)ただ、スピーディーが全然使えなかったといってもそんなことはなくて、
(班目春樹)あらかじめその発電所のある場所ではどういう風が普通吹くかとか、
(班目春樹)そういうようなことについては、あらかじめ計算しておけば、
(班目春樹)どういうことを気にしなければいけないかというのははっきりわかるわけですね。
(班目春樹)ですから、そういうのをあらかじめどんどんやって、それを防災計画にうまく組み込んでいただきたい。
(班目春樹)こういう意味ではスピーディーというのは大変使いやすいツールではないかと思っております。
(黒川)原子力安全委員会の方では、スピーディーについては今回のことを含めて、
(黒川)信頼性が低いために使わないというような方向だとおっしゃいましたよね。
(黒川)今おっしゃったようにいろいろなシミュレーションがあると思いますが、
(黒川)いろいろと実際に避難された方たちの話を聞いていると、
(黒川)やはりスピーディーなどの使い方にもっと工夫がいるなという話も出ていますので、
(班目春樹)この辺も、ぜひしっかりとした検証をしていただきたいというのが、
(黒川)それでは原子炉の安全基準についてお伺いしたいんですが、
(大島)私の方からは原子力安全、あるいは原子炉の安全といった問題につきましての国際的な側面、
(大島)国際的な視野、こういった見地から質問をさせていただきたいと思います。
(大島)原子力の平和利用につきましては、国際的に、世界的に一方で競争があり、
(大島)国際的な協力、基準作りといったものがIAEAを中心に進んでおるわけですし、
(大島)アメリカでのですね、B5Bのことをおそらくさっきおっしゃったんだろうと思うんですけれども、
(大島)いわゆる良き先例、good practiceを取り入れていく、そういう側面もあろうかと思います。
(大島)いずれにしましても、そういった国際的に合意されていく、作られていく基準のようなものですね、
(大島)特に安全の問題につきまして、こういったものに対する日本、
(大島)特に安全委員会の取り組み、必要性に対する認識というのをどういうふうに持っていられるか、
(班目春樹)まず、先ほども最初に冒頭に申し上げましたようにですね、
(班目春樹)我が国の場合にはですね、国際的にどんどん安全基準を高めるという動きがあるところ、
(班目春樹)なぜ日本ではそれはしなくてもいいかという言い訳づくりばかりをやっていて、
(班目春樹)真面目に対応していなかったのではないかという思いがございます。
(班目春樹)B5Bなんかに至ってはですね、安全委員会は全く実は知らなかった。
(班目春樹)今回初めて知って、これをもっとちゃんと読み込んでおくべきだった。
(班目春樹)あれがたまたま9.11、核セキュリティの方の話としてあったものですから、
(班目春樹)安全委員会の所掌ではなくて原子力委員会の所掌で、
(班目春樹)これだけの世界に対して迷惑をかけた国としてはですね、
(班目春樹)最高の安全基準を定めるのはこれは当然の責務でして、
(班目春樹)むしろまずは世界的な安全基準に追いつかなきゃいけないんですけれども、
(大島)そういった国際的な動きに対してやや内向きであったと、
(大島)そのいろいろな説明も先ほどおっしゃいましたけれども、
(大島)事実としてそういうことがあるんじゃないかと、こういうことであるわけですけれども、
(大島)IAEAにおいて基本安全原則というきちっとした国際的なルールができておるわけですね。
(大島)たまたま日本人の次長の方がリードされて、こういうものができたわけですけれども、
(大島)日本からはそういう専門家の参加がなかったというようなこともあったように聞いております。
(大島)アメリカにおいても、よく2010年には採択をされている。
(大島)発展途上地域や旧ソ連諸国は、これは決め的に参加している。
(大島)入っていない、いわば蚊帳の外にあるという指摘を専門家の方もなされておるわけですけれども、
(大島)これは今おっしゃったように、これからの対応としてはですね、
(大島)おそらく多くの専門家はそういうふうに感じておられていますが、
(班目春樹)はい、まさに先生のおっしゃるとおりでございまして、
(班目春樹)そのための最大限の努力をしなければいけないと思っております。
(班目春樹)やはりですね、我が国の、例えば安全審査指針なんかに一つとってみてもですね、
(班目春樹)変えるのにあまりにも時間がかかりすぎているというところがございます。
(班目春樹)まず例えば、そもそもシビアアクシデントを考えていなかったというのは、
(班目春樹)そこについては急遽変わってきていると思っています。
(班目春樹)それ以外もですね、実はいろんな事象の想定のときにですね、
(班目春樹)ちょっと専門評語になって申し訳ないんですけど、決定論的な考え方だけではなくてですね、
(班目春樹)確率論的な考え方とかいろいろなものをちゃんと組み合わせてですね、
(班目春樹)適切に考えなさいよというふうに国際的な安全基準はなっていますが、
(班目春樹)その辺についてもですね、まだ全く追いついていない。
(班目春樹)ある意味ではですね、30年前の技術科なんかで安全審査が行われているという実情があります。
(班目春樹)こういう辺りはですね、早急に直していかなきゃいけないというふうに考えているところでございます。
(大島)最後ですけれども、今おっしゃったような認識をですね、
(大島)今政府の中で日本の安全規制改革が進められておるわけですけれども、
(大島)安全委員長として、今おっしゃったような認識を新しい組織に反映していく上で、
(班目春樹)原子力安全委員会自体もですね、まさに検証の素材に乗っているわけですので、
(班目春樹)積極的な発言をするべきではないというふうにまず考えてございます。
(班目春樹)あえて今日はむしろ自由に発言をしていいという場を与えていただいたというふうに考えていますので、
(班目春樹)この問題というのは最後は人だなということをつくづくと思い知らされたということです。
(班目春樹)つまりですね、例えば実は今日午前中も衆議院の予算委員会に呼ばれていましたけれども、
(班目春樹)その場で参上委員会がいいのか、規制庁という組織がいいのかという議論もありましたけれども、
(班目春樹)安全性を高めるためには最大限の努力、どんなに事業者が抵抗しようと何しようと、
(班目春樹)最大限の努力をするんだという思いがいかに強いか、それだけで決まってしまいます。
(班目春樹)そうでないとですね、また一生懸命言い訳だけ考えて、
(班目春樹)現状のままでもなんとかなるからというところにまた留まりかねない。
(班目春樹)そこを引っ張る人の意欲と知識で決まるのではないかというふうに私自身思っているところでございます。
(野村)今までその組織を引っ張ってこられたのは委員長ご自身なわけですよね。
(野村)先ほどからですね、官僚の動き方が悪いとか事業者が悪いとおっしゃっておられるんですけれども、
(野村)その人として最もおかしい動き方をされていたのは委員長ご自身なんじゃないですか。
(班目春樹)私も実は原子力安全委員会に来たのは2年弱前、平成22年の4月の21日だったかな、かなんかです。
(班目春樹)それから発災まで11か月弱で発災になっているわけですが、
(班目春樹)例えばシビアアクシデントの規制要件化はもうこれは絶対にやろうと、
(班目春樹)安全自信類についてもいろいろ見直そうということをやろうとしていた、
(班目春樹)ちょっと今言っても言い訳になってしまうのであまり言いたくないんですが、
(班目春樹)やろうとはしていたということだけはちょっとあえて言わさせていただきたいと思います。
(黒川)先生のところのスタッフについて、先生はどのくらい満足して何が必要だと思われますか。
(黒川)何人くらいいるんですかね、委員だけじゃなくてスタッフとか。
(班目春樹)原子力安全委員会という組織はですね、100人と言ってますけれども、
(班目春樹)実際には70名くらいがいわゆる常勤のスタッフです。
(班目春樹)それ以外に30人くらい、非常勤の技術産業という方を抱えてございます。
(班目春樹)技術産業の方というのは、例えば昔の原件のOBだったりですね、
(班目春樹)そういう専門家の方ですが、残念ながら非常勤です。
(班目春樹)例えば石橋先生なんかにもご協力いただいたりしてますけれども、
(班目春樹)外部の専門家というのをですね、合計300人くらい抱えている。
(班目春樹)ただし、この方たちはあくまでも、本来大学の先生であったり、
(班目春樹)病院の先生だったりという、そういう方が、そういう時だけお手伝いいただく。
(班目春樹)こういう非常時にもですね、緊急助言組織を立ち上げるわけですけども、
(班目春樹)そういうところに集まってくださる方も、本職は別に持っている方が集まってくださって、
(黒川)だから普段からの常勤の人たちの質はどうだと思ってますか。
(班目春樹)少なくても私が着任して、いろいろとそういう人たちと話し合った結果、
(班目春樹)私の手足となって働いてくださるようになりかけたかなというところで、
(班目春樹)それでないと、いくら変えても、そういう人たちが移るだけでは意味がないですからね。
(班目春樹)そこをなんとか制度をうまく作り組んでいただきたいと思っています。
(石橋)今の話と関連することですけれども、ちょっと次元が下がるかもしれませんが、
(石橋)冒頭、委員長が私進類を今見直している最中ですとおっしゃった、
(石橋)それから耐震設計審査指針、これの見直しをなさっているんだと思いますけれども、
(石橋)この2つの指針について、改定に向けての簡潔にご説明いただきたい。
(班目春樹)はい、原子力安全委員会自体が3月末でなくなりますので、
(班目春樹)3月末までに中間取りまとめを行っていただこうと思っています。
(班目春樹)残念ながら全面的な改定というわけにはいきませんので、
(班目春樹)全交流電源喪失対策と、それから最終ヒートシンク対策あたりについて、
(班目春樹)これはむしろ、深層防護でいくと第3層よりも第4層まで踏み込んだような話になるんですが、
(班目春樹)まで含んだ形の取りまとめを行って、後は新組織に引き継ごうと思っております。
(班目春樹)それから耐震設計審査指針の方でございますけれども、
(班目春樹)こちらについては、確かに津波に関する記述が非常に少なかったので、
(班目春樹)津波に関する記述を付け加えた上で、さらにそれに対する手引きなども作って、
(班目春樹)これも安全委員会自身がなくなってしまいますので、
(班目春樹)あくまでも中間取りまとめという形で、規制行政庁に送ろうと考えています。
(班目春樹)というのは、指針の改定ということになってしまうと、
(班目春樹)実はパブリックコメントを受け付けなければいけなかったり、
(班目春樹)日程的に間に合わないということから、中間取りまとめで受け付けば、
(班目春樹)これは新組織の方で光るべき、引き継ぎをしていただけるものだと考えているということでございます。
(石橋)ということは、まだしばらくの間、この2つの指針に関しても、
(石橋)現行の不備を抱えたままのものがまだ使われるということですよね。
(班目春樹)現実問題として、昨年発災歳後、原子力安全保安院の方で緊急安全対策を打てということを指示を出してございます。
(班目春樹)このための、例えば省電の改善等も行っていらっしゃるはずです。
(班目春樹)したがって、実態としてはそちらに基づいた形で行われていると認識しています。
(班目春樹)ただ、耐震の話については、例えば安全委員会も、今回の資格変動が相当起こっていまして、
(班目春樹)法律運動もだいぶ変わっていますので、そういうのを含めて、
(班目春樹)いろいろと再調査等をしてくださいというお願いを保安院の方に出しているところで、
(班目春樹)そういうのの答えを待っているという状態でございます。
(石橋)3月30日の保安院の緊急安全対策の指示、こういうのは応急的なもので、
(石橋)要するにプラントの基礎体力をきっちり安全を担保するという、
(石橋)そういう観点では、まだ移行途中だということですよね。
(石橋)次に、安全審査指針類の根底にある原子炉立地審査指針のことを伺いたいのですが、
(石橋)これは原則として、大きな事故の誘因となるような事象が、
(石橋)過去はもちろん将来もない、そういう場所に原則立地しなければいけないということを謳っていますし、
(石橋)それから重大事故の発生を仮定しても、あるいは仮想事故の発生を仮想しても、
(石橋)表現が違いますが、両方とも要するに周辺の公衆に著しい放射線障害、
(石橋)あるいは放射線災害を与えないことを目標にしています。
(石橋)この指針に関して、福島原発事故を目の当たりになさって、
(班目春樹)正直申し上げて、全面的な見直しが必要だと思っております。
(班目春樹)私の聞いている限りでは、原子力基本法がそもそも改定になると聞いています。
(班目春樹)これまでの考え方というのは、どちらかというと、人への被害ということだったのですが、
(班目春樹)今度は基本法が改正されて、人と環境の被害を防ぐということになると伺っております。
(班目春樹)今までの立地指針に書いてあることだと、仮想事故とか言いながらも、
(班目春樹)非常に甘々な評価をして、あまり出ないような強引な計算をやっているところがあります。
(班目春樹)その考え方に則って、全面的な見直しがなされて引かれるべきものだというのが、
(石橋)先生個人としては、できるだけ早急に根本的な改定をすべきだとお考えなのか。
(石橋)3.11以降、要するに、地震類全体の不備が明らかになって、
(石橋)あるいは一時的に止まっているけれども再稼働しようとしている、
(石橋)適正な安全審査指針類で保証された安全性というものがないままに、
(石橋)国民の中には、これはまるで適正な車検を受けていない大型ダンプカーが、
(石橋)市街地を突っ走っているようなものではないか、怖くてしょうがない、
(石橋)そういう声もあるわけですけれども、このあたりは、いかがお考えですか。
(班目春樹)まさにおっしゃるとおりで、現在のところできているのは、
(班目春樹)例えば、原子力安全保安院から出された緊急安全対策に対しての手当がなされているとか、
(班目春樹)交流電源喪失や津波に対する配慮が足りなかったところを直すという、
(班目春樹)したがって、石橋先生がおっしゃるように、これは全面的な見直しを早急に進めて、
(班目春樹)残念ながら、原子力安全委員会は、あと1月ちょっとでなくなってしまいますので、
(班目春樹)今度はバックフィットも法律化されるというふうに伺っていますので、
(石橋)ですが、一方で、班目委員長は、7月6日に原子力安全保安院に、
(石橋)実質的には原子力安全保安院に、例の季節の原発の安全性に関する総合的評価というものの実施を求める、
(石橋)求められた、これが現在行われているストレステストの出発点になっているわけですけれども、
(石橋)このストレステストと、今おっしゃった安全審査指針類が今のところ不備であって、
(班目春樹)要するに、国が最低限の基準というのは当然決めなきゃいけない。
(班目春樹)これに、瑕疵があったことも確かだから、それはきちんと直さなきゃいけない。
(班目春樹)それと同時に、いろいろな緊急安全対策を打った結果としての、
(班目春樹)実力がどうなっているかというのを、事業者自らがしっかりと調べるという、
(班目春樹)これも当然やらなきゃいけないので、まさに車の両輪だろうというふうに考えているわけです。
(石橋)先ほどもおっしゃいましたし、今もおっしゃいましたけど、
(石橋)プラントの安全性を本当に保証するのは事業者が努力すべきだということをおっしゃいましたけど、
(石橋)一方で、世界の水準は、規制の基準は非常に高くなっている。
(石橋)それを十分に高めて追いついて、追い越さなきゃいけないともおっしゃっているんですけども、
(班目春樹)つまりですね、ちょっと日本と違って、アメリカなんかの状況を言いますとですね、
(班目春樹)アメリカなんかでは、事業者が自主的にどんどん安全性を高める努力をすると、
(班目春樹)その結果、全体的に国が縛る範囲というのを高めても良くなる。
(班目春樹)要するにグッドプラクティスがあれば、グッドプラクティスを誉えると同時に、
(班目春樹)なぜ他のプラントではそれはできないの?ということを問いかける形で、
(班目春樹)それに先行して、事業者自身が自らのプラントの安全性を高めていく。
(班目春樹)継続的改善というのはそういう形で進むべきもので、
(班目春樹)いきなりですね、とんでもない基準をボンと示せばいいというものではない、
(石橋)今の原子力安全委員会としての方向性、考え方なんですか?
(班目春樹)5人の合意を取ったというものではございませんけれども、
(班目春樹)原子力安全委員会の中では、結局はこの継続的改善への道を開くことが
(班目春樹)一番大切なことだなということでは、大体意見が一致しているというふうに思っております。
(班目春樹)ですが、アメリカでは、例えばアメリカのNRCは去年の7月に、
(班目春樹)福島原発事故を踏まえた21世紀のリアクターセーフティに関して、
(班目春樹)レコメンデーションというのを非常に高めるためのレコメンデーションを出していますよね。
(班目春樹)ですからそういうのに比べると、やはり日本の国の基準は、指針は非常に低くて、
(班目春樹)それはそれで一方で高めていって、両方で競争していくべきだということですね。
(石橋)ストレステストに戻りますと、ストレステストを始めたヨーロッパでは、
(石橋)これは施設の弱点を見つけて、クリフエッジとかそういう弱点を見つけて、
(石橋)それを改善していくための手法としてが主眼になっていると思うんですけれども、
(石橋)そういうことは、それはそれで日本でもやったらいいことだとは思いますけれども、
(石橋)一応現状では国の安全審査指針類が非常にレベルが低い段階で、
(石橋)このストレステストに合格したら、それは再稼働していいということになるんですか。
(班目春樹)ですから、ストレステストというのは安全審査基準に則って行われるものではなくて、
(班目春樹)もっと上を目指してやるものなので、それを見させていただきたい。
(班目春樹)安全審査指針に則っているから文句ありませんねというふうに事業者が言ってきたら、
(石橋)このストレステストはかなり応急的なというか、要するに基礎体力を高めるという話ではなくて、
(石橋)例えば具体的に、大飯3.5.4.5で言えば、基準地震動700ガルの何倍まで大丈夫だという話で、
(石橋)これのテストの方法も、今結論として報道なんかされているのは、
(石橋)700ガルの1.8倍の1260ガルまでは大丈夫ですということになっていますけれども、
(石橋)地震動が大きくなれば、当然それは地震が大きいわけで、ソースが大きいわけで、
(石橋)したがって、振動の継続時間とかですね、それからスペクトルとか周波数成分、
(石橋)そういうものが変わってくるわけで、地震類に基づいて、安全審査あるいはバックチェックをするときには、
(石橋)その辺もきちっと見て、要するにプラントの基礎体力というものが高まっていくわけですよね。
(石橋)だけど、現在日本で行われているストレステストは単に倍率をかけるだけで、
(石橋)だから基礎体力を高めるものではないと思うんですけれども、その辺いかがお考えですか。
(班目春樹)原子力安全委員会が経済産業大臣宛てに出した文書ではですね、
(班目春樹)まさに自らのプラントの弱点を、脆弱性をちゃんと把握して、
(班目春樹)頑健性を高めるような、そういう評価をやってくださいということになっています。
(班目春樹)それに対してですね、一時評価と二次評価という形でやりますというふうに言ってきたのは、
(班目春樹)これは原子力安全法案委員の方で、とりあえずそれでやりますということなので、
(班目春樹)ただ、最終的な目標は、まさに全体としての頑健性を高めることなので、
(班目春樹)二次評価の結果を持ってきてくださるような気はだんだんしてなくなってしまっているんですが、
(班目春樹)最終的には石橋先生がおっしゃるような形でのことをやっていただきたいと、
(班目春樹)原子力安全委員会としては願っているところでございます。
(石橋)保安院から大飯三号、四号に関しては原子力安全委員会に報告が出たそうですけれども、
(石橋)報道によると、班目委員長は、この原子力安全委員会が存続している間に、
(石橋)検討結果を安全委員会としても出したいとおっしゃったみたいですが、
(班目春樹)やっぱりできたら出したいと思っていますけれども、
(班目春樹)これは原子力安全法案委員の方の回答次第では、そうでない場合もあり得るというふうに回答していると思います。
(野村)今ストレスと安全審査指針類との関係について、これは次元の違うものだということをよく理解できたんですけれども、
(野村)もともと安全審査指針類の中に、仮想事故という概念がございますよね。
(野村)これは起こらない事故ということで、起こった場合にどのぐらいの放射線量が出るのか等々を考えながら、
(野村)その周辺の避難住民の健康被害との関係で検討していくという考え方だと思うんですが、
(野村)今回、実際に福島の事故では、仮想事故で想定していた放射線量の何倍の放射線が出たのでしょうか。
(班目春樹)多分100倍近く出ているのではないかと思いますが、
(班目春樹)ちょっとすみません、もっと出ているかもしれませんね。
(野村)起こり得ない事故として計算していた放射線量の1万倍も出てしまっているわけなんですが、
(野村)それもともとの基準がとんでもなく計算間違いということではないんでしょうか。
(班目春樹)とんでもない計算間違いというか、むしろ逆に敷地周辺には被害が及ぼさないということの結果になるように考えられたのが仮想事故だと思わざるを得ない。
(班目春樹)これ定めたとき、私自身安全委員であったわけではないので、想像ですけれども、
(班目春樹)この辺りは根本的に反省して再出発するしかないと思っています。
(野村)今おっしゃったことというのは、結局1万倍出るという計算から始めてしまうと、
(野村)日本のこの国土の中では住むところがなくなっちゃうというような、そういう計算になっちゃうんですよね、おそらく距離からいけば。
(野村)ということは逆に言うと、このぐらいまで人が住んでもいいというふうに逆算すれば、
(野村)これしか出ないという計算をしたんじゃないかというご推察だという理解でよろしいですか。
(黒川)立地の指針ということがですね、仮定がどこかでずれてきてしまった。
(黒川)元は多分アメリカと同じルールでやったんだと思うんですけど、
(黒川)いくつかの仮定の設定がしっかり見直さないといけないんじゃないかなと思いますけど、
(班目春樹)大体立地指針になるものが必要なのかちょっとよくわからないというのは、立地指針って非常に変な構造をしてまして、
(班目春樹)基本的なことを考えた後、今度はいろんな詳細設計が済まないと最終的な解が出てこないという非常に変な構造の指針になってますので、
(班目春樹)もうちょっと抜本的な見直しが必要なんだろうかとは思っています。
(田中)ちょっとベントのことについてお伺いしたいと思います。
(石橋)確かに根本的に考え直さなきゃいけないと、今の原子力安全委員長がお考えということは大変心強いわけですけれども、
(石橋)要するにどういうところなら立てていい、どういうところなら立ててはいけないんだということが、もっとはっきりわかるように明快なことをズバッと決めればいいと思うんですよね。
(石橋)それは本当に持って回った、しかもあれは1964年、昭和39年ですよね。
(石橋)ですからあれがいまだに生き延びていて、それの改定を誰も責任ある側が言い出さなかったということが、
(石橋)それがある意味ではそういうことが積もり積もって福島の事故が起こってしまったわけですよね。
(石橋)ですから今後もその組織が変わっても、多分ご要職に当たられる可能性は高いと思いますから、もうぜひお願いします。
(田中)ベントというのはやっぱり放射性物質を出すか出さないかという非常に重要な問題だと思いますが、確の要求がですね。
(田中)聞き間違いでなければ先ほどのご説明の中で、まずベントのことを思いついたというのが3月11日の夜のことだったと思いますけれども、
(田中)その時には減圧による注水のことを考えて確の要求の圧力を下げようと思ったというふうにおっしゃったように聞こえましたか。
(田中)ということはその時は水素発生のことは考えていらっしゃらなかったという意味ですか。
(班目春樹)その時点では水蒸気がどんどんどんどん、要するにSR弁から吹いて確の要求の圧力が上がっているのだと思い込んでいました。
(田中)ただそれは水蒸気やSREUだとどうして上がるんでしょうか。
(班目春樹)ですが、だんだん格納容器のサプレッションプールの水温が上がっていって、それで蒸気発生が起こっているのではないかと推察していました。
(田中)そうすると東京電力がその後夜中に考えて、準備をし始めるベントというのとはちょっと意味が違ったベントを考えていた。
(班目春樹)ですから確の実際に圧力が上がりだしたのは多分夜中を過ぎていたと思いますけれども、
(班目春樹)そのあたりから私自身は相当に頭の中でいろいろなことを考えて不安になっていたと思います。
(田中)そうすると水素はまだその時には発生していなかったんだけど、そういうご理解をされておられて、
(田中)その後だんだん水素のことが頭の中に巡ってきたという、そんな感じでしょうか。
(班目春樹)その時とにかくいろんなことを考えていたので何とも言えませんけれども、
(班目春樹)当然水素は、これは炉心が溶ければ水素が発生するのはもう自明ですから、
(班目春樹)水素のことに頭が行かなかったわけでは絶対ありません。
(班目春樹)ただそれがどの時点だったかというと、ちょっともうはっきり言えないのが実情です。
(田中)今回はその地震動と水力学的動荷重が重なるとか、そういうようなイメージは一瞬お持ちになったことはございますか。
(班目春樹)そういうことよりも、電源喪失という話をパッと聞いて、
(班目春樹)そちらの方の対策としてどういうことが打てるのかということにばっかり頭が行っていたという状況です。
(黒川)はい、今ちょっと一つ戻って、さっき言った、今石橋先生がおっしゃった立地審査指針のところが、
(黒川)過剰の事故にしろ重大事故にしろ、今回は全く想定外じゃないけど全くレベルが違うわけですよね。
(黒川)だからそういうところまで戻さないと、今度のさっきおっしゃった新しい法律を作ろうとしているというのは、そこまで考えているんでしょうね。
(班目春樹)要するに今まで日本ではシビアアクシデントは、これは事業者が自主的に対策を打っておけばよくて、規制の対象外だったんです。
(班目春樹)しかし現実にシビアアクシデントが起こったわけです。
(班目春樹)したがってこれからはシビアアクシデントもちゃんと規制の中に入れますということに、今度の法律改正案はなっているというふうに理解しています。
(班目春樹)ええ、ですから非常に変なことが起こってまして、多分田中先生詳しいと思いますが、
(班目春樹)例えばベントのための配管というのは、これは施設公認の対象にすらなっていないんです。
(黒川)まあそうでした。それは最近ですよね。もっと後の話でしたね。
(班目春樹)今も多分なっていないんです。根本的に見直さなきゃいけないところです。
(黒川)次に健康被害問題について、崎山委員と横山委員お願いします。
(崎山)安全委員会では、住民の健康被害の防止について、どの程度の優先順位で考えられていたんでしたでしょうか。
(班目春樹)どの程度の、とにかく住民の健康被害を起こさないことも、それはもう第一優先順位だというふうに考えております。
(崎山)第一。それでそのためにはどういう施策というか、指示をなさったんですか。
(班目春樹)例えば住民避難の話はですね、これは私がしたかどうかはちょっと本当にわからない形で行われています。
(班目春樹)しかし3キロ、10キロ、20キロという形で行われている。これが第一点ですね。
(班目春樹)あとはですね、原子力安全委員会というのは、こういう事故が起こった後は、基本的に助言機関ということになります。
(班目春樹)それで原子力災害対策本部の方から、いろいろな技術的な質問事項がやってきます。
(班目春樹)それに対してどんどん回答しているということをやっています。
(班目春樹)その中にはですね、例えばヨウ素剤なんかの服用についての質問も多分あったはずですし、
(班目春樹)それから例えばスクリーニングといって、いろいろ放射性物質で汚れている人をどう対応したらいいかというような質問もあったでしょうし、
(班目春樹)そういうようなたくさんの質問に次から次へと答えていた。これが原子力安全委員会の対応でございます。
(崎山)ヨウ素剤の配布ということについて助言なさったわけですね。
(班目春樹)いまだもって原子力安全法案委員の方に問い合わせていますけれども、回答がございません。
(班目春樹)原子力安全委員会としてはですね、緊急時助言組織の鈴木元先生(国際医療福祉大クリニック院長)
(班目春樹)原子力安全委員会のことはわかりません。申し訳ございません。
(崎山)そういうシステムですね、避難所で渡すと、そういうようなシステム自体の問題ということにはならないでしょうか。
(班目春樹)まさにおっしゃるとおりで、こういう時にヨウ素剤を一度集まってもらって渡すなんていうのは、机上の空論に過ぎなかったと思っております。
(班目春樹)そういう意味ではですね、少なくても発電所の方の状況が差し迫った時にすぐ逃げていただくような範囲の方には、各戸配付をあらかじめしておくとかですね、
(班目春樹)そういうようなことも含めて、現在防災指針なんかの見直しをやっているところでございます。
(崎山)一番初めに安全委員会、ヨウ素検討委員会でも、そういう案は出ていたはずなんですけれども、すぐ消えてしまったという感じ。
(崎山)私はヨウ素剤検討委員会で傍聴していたことがあるんですけれども。
(班目春樹)ヨウ素剤検討委員会というのは、安全委員会の方のですか。
(崎山)それから4月11日に安全委員会は、100ミリシーベルトは健康への影響はないというふうにしていました。
(崎山)衆議院の化学イノベーション委員会で、安全委員会の委員が100ミリシーベルトで死亡すると、
(崎山)生涯0.55%のがん死率が上乗せになるということをおっしゃいました。
(崎山)4月の時点の見解と、それを5月に変えて、10月の修正というホームページを修正してあるわけですけれども、
(崎山)こういう基準のアドバイスというのは、どなたがなさっているのでしょうか。
(班目春樹)基本的には原子力安全委員会では、くすみ先生がその分野の専門家ということになっていますが、
(班目春樹)当然その後ろには多くの専門員の方がついて、そういう文章を作成しています。
(崎山)原子力安全委員会の中の専門員がそういうことを考えていらっしゃるということですか。
(班目春樹)はい、原子力安全委員会の専門員というのは、他に職業を持っていらっしゃる方ですが、
(班目春樹)そういう方に一緒になって考えていただいているというのは実情でございます。
(崎山)4月の時点の発がんはないというような見解というのは、過小評価だったということですよね。
(崎山)4月の時点でがんの発生がないと言っているはず・・・?
(崎山)健康への影響はないということがホームページにあったわけです。
(班目春樹)すみません、私はちゃんと把握していないのですが、もしそういうのがあったとしたら、当然それは間違いだと思います。
(崎山)今度は労働者の被曝のことに関してですが、当然の幹部から、
(崎山)労働者の放射線作業従事者の線量限度を100ミリから250ミリシーベルトに上げるということを相談されて、250ミリシーベルトに上げられましたね。
(班目春樹)根拠は、ICRPの勧告によりますと、こういう非常事態の場合には、500ミリシーベルトから1000ミリシーベルトという基準になっています。
(班目春樹)さらには、志願者については助言なしというルールを適用している国もございます。
(班目春樹)私がやったことと言いますか、原子力安全委員会というのは結局助言組織ですから、
(班目春樹)そういう風な東電からの申し出に対して、それに対してはICRPなどではこういう風になっていますということを説明して、
(班目春樹)実際の省令改正等々は、これは規制行政庁の方で行われたものだという風に理解しています。
(班目春樹)実は非常事態の場合は100ミリシーベルトまでだと、法律違反にならないように東京電力としては50ミリシーベルトで運用せざるを得ないと。
(班目春樹)そうすると、一切作業ができなくなってしまいます。
(班目春樹)ということで、ぜひ国際水準に合わせていただけないでしょうかという申し出があったので、国際水準はこうなっているという解説をしたのだという風に記憶しています。
(崎山)ということは、放射線作業者の技術者の数が少ないということなんですか。
(班目春樹)一回の作業で下手をすると、50ミリシーベルト以上を浴びてしまうような作業は、もう一切できなくなるということなので、
(班目春樹)万々が一の時でも法律違反になるようなことはできないとなると、本当に手足を縛られてしまって、どうしようもなくなるので、
(班目春樹)国の方で法令を少し考えてくれないかという申し出があったのと理解しています。
(崎山)それで250ミリシーベルトに上げてから、労働者の放射線管理というのが少しずさんになったという声も聞こえるんですけれども、
(崎山)きちっと250ミリというのが守られるように、どういうような指導をされているんでしょうか。
(班目春樹)具体的な指導というのは、これは規制行政庁の方にお尋ねいただきたいんですけれども、
(崎山)作業者の放射線管理というのは大切なので、いろんな形で原子力安全委員会の方から原子力災害対策本部の方に助言はしているはずだと思います。
(崎山)3月17日に厚生労働省が決めた食品と飲料水に対する基準ですけれども、その基準値についてどういう評価をされていらっしゃいますか。
(班目春樹)原子力安全委員会としては、いつまでも暫定基準値というのは、これは原子力安全委員会が定めたところの防災指針に書かれている値なんですが、
(班目春樹)それがいつまでも使われるというのは好ましくないと思っていましたので、
(班目春樹)ちゃんと厚生労働省の方で然るべき値を決めてくださいとずっと申し上げていたところ、値が出てきたものですから、それはそれで結構だと思っているというところでございます。
(崎山)下げるということに関しては、この間答申が出た、それはずっと方針としては守るということなんですか。
(班目春樹)原子力安全委員会としては、ちゃんと厚生労働省の方で定めたのであれば、それに従ってきちんとやっていただきたい、それに尽きるということです。
(崎山)この暫定基準なんですけれども、500ミリの現在与えられている基準ですね。
(崎山)それは放射線障害防止法でクリアランスレベルというのがあると思うんですけれども、
(崎山)原発を解体したときに100ベクレルパーキログラムですよね。
(崎山)そういうことですと、暫定基準値というのはクリアランスレベルよりも高いということですね。
(班目春樹)私自身がよく理解できていませんけれども、要するにクリアランスレベルというのは、もう管理を外しても結構ですよという値でございます。
(班目春樹)いろいろな工業製品、農業製品、いろいろなものがありますけれども、そういうものに対して管理を外してもいいという基準でございます。
(班目春樹)これは自然放射線よりプラスに入るわけですからね、カリウムよりは、食べるもので入るから。
(班目春樹)ですから従って十分カリウム40による影響に比べ十分無視中ぐらい小さい値に定めていただければ結構だということで、そういうふうになっているというふうに私は理解しています。
(崎山)でも、今の基準ですと、4月に変われば別ですけれども、放射線廃棄物扱いにしなければならないようなものを国民が食べさせられているということになるんじゃないかと思うんですが、その点いかがですか。
(班目春樹)いやちょっとすいません、そこまでちゃんと計算していないのでわかりませんけど、そうはなっていないと思います。
(班目春樹)原子力安全委員会としてはですね、閾値はないということでずっと発言しているつもりでございます。
(班目春樹)閾値がもっと高いところにあるかもしれないという議論は一切なしに、やっぱり最終的には年間1ミリシーベルトを目指して最大限の努力をすべきである、これが基本的な考え方でございます。
(横山)ということは、先ほど決定論から確立論へとおっしゃったということはですね、ここから以下はいいんだとかいうことではなくて、どの場合にもそれとはちょっと違うお話なんですか。
(班目春樹)はい、すいません、ちょっと勉強が進んでいません。
(黒川)だと思いますので、その辺またちょっと考えていただければよろしいかと思います。
(黒川)じゃあ早急に訂正しなくてはいけないのかもしれないなとちょっとこちらも思ったので、そういう質問が出たと思います。
(石橋)このお話の最初にですね、原子力はもちろん住民の健康被害の防止を第一に考えていますという趣旨のことをおっしゃったと思うんですけれども、
(石橋)やっぱりこれははかりにかかってですね、必ずしも住民の健康第一ではこれまで必ずしもなかったのではないかという、これは多くの国民が思っていると思うんですよね。
(石橋)いやこれ、班目委員長個人に申し上げているわけではありません。
(石橋)やっぱりこの辺も福島の事故を踏まえて通節に反省していただかなければいけないと思うんですけれども。
(班目春樹)原子力基本法もですね、まさにそういう書き方をしてございまして、ここも含めてしっかりと国会では議論がされるものというふうに期待しているところでございます。
(黒川)本当に今日は本当にありがとうございました。委員としてもですね、先生とフランクの意見を交換できて非常に良かったなと思います。
(黒川)今回の事故というのは本当に皆さんもあまり予想しなかっただろうと思いますが、委員長として、原子力安全委員会としてはですね、
(黒川)そのある目標、それによって何か達成されたとは言いにくいのかもしれないけど、その次にこういろいろ変わってきましたよね。
(黒川)今の意味で社会も変わってきたし、今度法律も変わってくるという話ですが、これをどういうふうに先生としてはですね、委員長としては引き継いでいくのか、
(黒川)それから今の先生のスタッフもそうですけど、どうやってそれぞれの適材適所というのは、すごく班目先生おっしゃったけど、そうだと思うんですよね、私も。
(黒川)そういう意味ではどういうふうにお考えかなというのをざくっと言っていただけるといいと思うんですが。
(班目春樹)これだけの事故を経験して、世の中が変わっているということをとにかく踏まえると、
(班目春樹)今までと同じようにですね、外国では気にしているけど日本では起きませんよなんていう、そんな言い訳が通用しなくなっている。
(班目春樹)そういう中できちっと機能するような組織であり制度であり、それを支える人であってほしいし、
(班目春樹)そういうふうになることをまさに国民全体できちっと監視していかなきゃいけないというふうに思っております。
(班目春樹)私自身は多分立場は全然変わってしまいますけども、それをいろんな形で見守っていきたいと思っております。
(黒川)それから今日の先生の話を聞いていると、私もこの委員会も非常に今議論していると、
(黒川)意を強くするというか同じ認識をしているんですけれども、
(黒川)日本は今までその原子力も技術立国であるという評判があって、
(黒川)日本でこんなことが起こってということはもう尋常に信じられないという話を随分聞きます。
(黒川)しかもお互いにこれからこういう事故からどう学ぼうかということで、
(黒川)委員会の問題、独立性の問題、人材の質の問題ということが非常に問われているわけで、
(黒川)そういう意味では確かに技術はそうだけれども、マネジメントその他のシステムの問題とかいうことはかなりあがらさまになってきたわけですね。
(黒川)そうすると日本の原子力推進の基礎にあるのは何なのかということは、
(黒川)向こうも日本語で書いてあるとかなり調査していますから、
(黒川)そういうことから言うと先ほど一律で出ましたけれども、
(黒川)その立地審査基準というのは昭和何年かに、39年ですか、
(黒川)作られたことの問題もちょっと先生のご意見も伺いましたが、
(黒川)日本がそういうのを作ったのは、明らかにアメリカのルールを最初は採用しながら先生がおっしゃったように、
(黒川)いろんな事故から学んで、どんどんきつくしていくというプロセスがあったんだけど、
(黒川)日本だけでなくて世界が実は注目しても知っちゃっていることですよね。
(黒川)だからそれに対応できない限り日本の国の信用がなかなか大変だろうなと思うんですが、
(黒川)そういうことから言うと、あの設置基準そのものから言うと、
(黒川)意外にその元のところからは合わないところが結構あるんじゃないかと、
(黒川)あるルールの下では多分できているのかもしれないけど、
(黒川)実際はそのかなりモディファイされたものを入れただけで、
(黒川)そこからちっとも進んでいないということが結構わかるんじゃないかと思うんですが、
(黒川)そういうことから言うと、発電所がいくつもあるかもしれないなということなどは、
(黒川)まさにこれからしっかりと多分ストレステストというのも行われるんでしょうし、
(黒川)世界最高の安全水準というのを目指すんだというところの決心をもう一度し直す必要があると思っております。
(黒川)事故が起きたときはやはり国民なり住民の安全と避難ということをやはり考えないといけないという話ももう一つ出てくると思いますが、
(黒川)またメインのフランクな意見を伺わせていただきまして、どうもありがとうございました。
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