2019-12-27に更新

個人開発者のためのクラウドソーシング発注入門

この記事はcrieitのなんでも Advent Calendar 2019の27日目の記事です。嘘です。

シモネタサイトの解説記事の中で、お金出してイラストレーターさんに描いていただいた話が興味を持っていただいているみたいなので、クラウドソーシングでデザイナさんにお金を払ってなんかしてもらう系のノウハウをまとめました。

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クラウドソーシング

クラウドソーシングって、やばいブログの記事量産とか、安すぎてブラック労働、みたいな感じで良くない印象を持たれていることも多いみたいです。
実際のところは、無数に仕事があるんだからホワイトな仕事もあればブラックな仕事もあるし、そんなの現実社会と一緒でしょ、駄目なもののほうが面白いから目立つだけじゃないの、というのが個人的な感想。

でも仮に条件の良くない仕事がいっぱいあるのだったら、普通の条件で仕事を発注するだけでぼくらは相対的に優良な発注者ということになります。息をするだけで褒めてもらえる異世界転生の世界!

お金ないんだけど?

いやいやそう言ってそれなりに持ってるでしょ?ちょっとジャンプしてみ?

例えばこれとか魔法にしか見えないじゃないですか?

最初の頃これ見て「すげー、覚えよう!」と思っていたのですが、ある時気づきました。それってデザイナさんが『phpの文法を覚えよう』って言ってるのと一緒だよね?
ぼくらにとってプログラミング言語の文法とか、エディタのショートカットは毎日使うから勝手に覚えるものであって、頑張って記憶とかしても意味ないよなーと思うじゃないですか。便利なライブラリとか、べつに意識して探さなくてもTwitterで遊んでいるうちに勝手に知識が入ってきて、必要になったら「なんかあったよね、どこだっけ」って探せば簡単に出てくるものじゃないですか。

同じように、デザイナさんはillustratorを日々使ってるからショートカットとか勝手に覚えているし、街を歩けば「あ、七種泰史さんのフォント」みたいなことを自動的に考えちゃうものなのです。

なので、Webサイトでイラストが必要とか、なんかデザインが締まらないんだけどどうしていいかわからないという時、ぼくらがillustratorでドーナツ一個書くのにも四苦八苦している状態で頑張るより、「こんな感じのイラストがほしいんです」ってお願いしてサクッとやっていただいたほうが効率的な時間の使い方なんじゃないのかなと思っています。

発注先

 ぼくはクラウドワークス を使っています。もともとランサーズ使ってたのですが、クラウドワークスのほうがいい感じで仕事してもらえることが多かったので、最近はクラウドワークスで依頼することが増えています。
イラスト特化のSKIMAというサイトもあるのですが、Webサイトの部品というよりは、壁に飾る絵描いてください、みたいな雰囲気があわなくてまだ試したことがないです。

発注内容

 Webサイトに使うアイコンとか、今回のようなイラストをお願いすることが多いです。

サイトまるごとデザインみたいなのは、一回お願いしたことがあったのですが、出来上がったあとで開発の方向性が間違っていることに気がついてドンガラガッシャンする羽目になるという痛い経験をしたことから、よほどサイト内容が固まって、あとはデザインを良くすれば勝てる!みたいな状態にならない限りもうやらないんじゃないかなあ。

コンペと固定報酬

クラウドワークスの依頼形式は3つあって、コンペと固定報酬、時給制です。

このうち時給制については、使ったことないのでパスします。時給制で雇って、方向性の相談から製作まで全部やっていただくのはちょっと憧れますが、だいぶ金額の大きな仕事になっちゃうので、個人開発でここまでつっこむのは難しいんじゃないかなあ

コンペは、テーマを決めて皆様に応募してもらって、その中から一番いいものを選ぶ形式。コンペにできるものなら、コンペおすすめです。できたものを見て選べばいいので選ぶのが簡単。

ただ応募するデザイナさんの立場に立つと、応募して選ばれないと一円ももらえないので、あんまり大規模な仕事をコンペにすると、やってられまへんわということになって応募してもらえなくなります。そういう仕事は固定報酬にすることになると思います。

ぼくは基本コンペでお願いして、その人がよかったら、追加発注とか、同様にお願いできそうな仕事のときは固定報酬で同じ人にお願いするようにしています。いい人がいたらずっと固定の依頼になりそうなものなのですが、そんなに頻繁に依頼するわけじゃないので、「前回依頼していたあの人」と思ったら退会していて連絡がつかなくなることがよくありますw

あと、個人的にオススメのやり方。イラスト5点とかお願いするときに「一点だけ作って応募してください。選ばれたら、残りも制作して納品をお願いします」というスタイルにすると、ぼくはコンペ形式で選ぶのが楽だし、デザイナさんも、5点作ってコンペ負けして一円にもならない、みたいな悲劇を回避することができます。過去何回か試して好評頂いているので、よかったら試してみてください

金額の決め方

金額は、類似の依頼を見て決めます。
検索ページから今出てる依頼を検索できるので、「この金額なら応募が殺到する」「この金額なら応募は来ない」というのがわかります。
ぶっちゃけ応募が殺到すると見るだけでも手間がかかるので、倍のお値段でいい仕事してもらおう、みたいなやり方はあんまおすすめできません。優秀なデザイナさんの成果に報いるのは、二回目以降の固定依頼の時がいいんじゃないかと思います。

人を集める

クラウドワークスには、デザイナさんに対して「みてみて」って通知を送る機能があります。
クリック一つで送ることができて、一つのお仕事に付き20人まで送ることができるので、「あれ?意外と集まらない?」と思ったときのブーストに使うのがいいかと思います。
「昔やってたけどもうクラウドソーシングは受けてないんです」みたいな人は通知を送っても見てもらえないので、狙い目はクラウドワークスに登録したばっかりの人です。
「イラスト」とかのキーワードで検索して、新着順でソートします。ざっと見て問題のなさそうな人片っ端から「みてみて」を押していきましょう。大丈夫。クラウドワークスに登録したばっかりの人でも、ぼくらが自分でやるよりはるかに優秀な人ばっかりです。

あと、週末デザイナー(平日会社員)という方が結構いるので、「応募ない?」と思っても土日は様子見るのもいいと思います

気持ちよくお仕事をしていただくために

直し

デザイン作っていただいたあとで、「やっぱこうしてほしいです」「違うデザインで」みたいなことを言うのを「直し」といいます。プログラマならこういうの嫌いなのはわかりますよね。
とはいえ全く直さないと意図したものがもらえないので、どのくらい直してもらうつもりか明記しておくと良さそうです。

「ラフ提出→承認→制作→直し(一回まで)」だとわりと受け入れてもらいやすいと思います。

(ラフ: 色塗りとかレイヤー整理とか時間のかかるところはやってないけど、だいたい方向性の分かる程度のデザイン)

最近は慣れてきたので、「ラフ提出→承認→制作→直しなし」で依頼することも多いです。細かいところはデザイナさんを信じる!

用途について

プログラマの場合、勤務時間中に書いたコードは納品先のもので、そのあと何しようがお客さんの勝手という契約が一般的ですが、デザイナさんの世界では、デザインというのは用途を指定して発注することになっています。例えば「このチラシで使います」って発注した場合、他のチラシに転用したり、webサイトに使うのはNGです。

この辺の説明がわかりやすい。
印刷デザインのデータの著作権(版権)は誰のもの?

業界の慣習は尊重したいのですが、ぶっちゃけ個人開発においてこれは非現実的です。挿絵として依頼した画像だけどいい感じだったのでfaviconにも使いたいとか普通にあるし、ぶっちゃけ便利な画像があれば別のサイトでも使いたいでしょ?何年かたって元の絵を描いたデザイナさんに連絡がつくとも限らないですし。

そういうことに配慮したのか、クラウドワークスでは(ランサーズも)、利用規約で著作権の譲渡が定められています。
つまり、デザインで一般的な考え方ではなくて、素人が思う「作ってもらったものはオレのもの理論」が通るということです。

とはいえ相手の商習慣に配慮しておいたほうが気持ちよく仕事していただけるのは確かなので、一言書いておくと、「あ、配慮してくれてるんだなあ」と思ってもらえるかもしれません。

クラウドワークスの利用規約では、取引完了した段階で著作権はクライアントに移転・帰属する事になっています( https://crowdworks.jp/pages/agreement.html )
これを前提に、納品していただいた画像等は無断で適宜編集して他の用途に使う可能性があるので予めご了承ください

あと、著作権を譲渡してもらうと、制作物はぼくらの物になって、デザイナさん自身がポートフォリオに載せるにも許可が必要になってしまいます。ぼくらそんなことは望んでいないと思うので、ここも一言書いておいてあげると、ちょっと恩を売れるかなと思います😜

ただし、納品していただいた画像をデザイナさんが別の用途に使うことは全く制限しません。他の仕事に使ったり、ポートフォリオに掲載したり、自由に使ってもらって大丈夫です

謝辞について

あんま関係ないような気がするのですが、一応毎回、謝辞載せて宣伝に協力しますよということを書くようにしています。

もし希望があれば「アイコンはこの人に作っていただきました」みたいな感じで、ブログやサイトなどで謝辞つけます!

アウトプット形式について

サイトのデザインが変わったとき、イラストのサイズを変えたり、ちょっと他のところに転用したりしたい、ということを考えると、あとで変更が効くフォーマットでもらっておくと便利です。
illustratorが使える人は、レイヤー分けされたaiでもらっておくと、背景を消してオブジェクトだけ取り出したり、サイズを変えて任意のサイズで取り出したりできるようになります。
Adobe税が払えない方は、svgにしておくとサイズ変更できるので、比較的扱いやすいかと思います。

※ この間仕事お願いしたデザイナーさんは、何も聞かずにpngとjpegとsvgとaiをアップロードしてくれて、「こいつ...デキる!」って思いましたw

30px-400pxくらいの任意のサイズでアイコンを作れるように、svg形式での納品をお願いします。コンペ時点ではpngやjpegで大丈夫です

イメージの伝え方

クラウドソーシングサイトでは、標準テンプレートみたいなのを使ってイラストのイメージを伝えるように誘導してきます。
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でもまあ、こんなんで伝わるんだったら苦労しないよね。

いらすとやさんの画像とかを使ってとりあえず仮で作っちゃって、このサイトのここに使う画像がほしい! ってお願いするか、どこか別のサイトを示して、「こんな感じのがほしいと思っています」って言ったほうが早い気がしています。

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daisuke furukawa

おひるねのできるフリーランサー。「モバイラーズオアシス」の中の人でもあります。

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