最近のプライバシーに関する報道を見ていて、3月の中頃にこんなメールを LinkedIn 経由でもらったことを思い出した。
Job Opportunity at Apple!
Hi Taro, I came across your profile and wanted to see if you're open to new opportunities. I have an Japanese Language Engineer Position with Apple in Cupertino that you may be a great fit for. I am looking for someone who has experience with ML/NLP and can code in Java, Python, Shell, or equivalent. If interested in further discussion, please pick a time that works best for us to hop on a quick phone call! If you currently are not interested, but know someone within your network that may be, please feel free to forward them my information as we do offer a referral bonus for anyone you refer that is placed on the project. Looking forward to hearing from you!
クパチーノのアップル本社で日本語の機械学習・自然言語処理のできる「日本語エンジニア」を探しているという話だった。「日本語エンジニア」って肩書きはなんやねんとも思うのだが。
「え?何これ?こんなあつらえ向きの話あるの?」
メールを何度も読み返して自分の理解が間違ってないことを確認したら、急いで返信のメールを認めた。
(今改めて読み返してみると、「Java, Python, Shell もしくは同等の言語で実装の出来る」という表現は、Java と Python を同等とみなすのはよいとしても、Shell をそこに混ぜると何がなんだか分からなくなると思うのだが。)
このメールをくれたリクルーターの女性は電話で以下のようなことを言った。
「え、フルタイムじゃないんですか?」
「ええ、コントラクターになるの。」
コンタラクターか。。。それ以外の内容は申し分ないのに。
「コントラクターは、ビザ的に働けるか分からないですね。ちょっと。」
「うちで H1B ビザで働いている人は他にもいますよ。成果が認められて正社員にいなった人もいます。
労働条件は正社員と同じですよ。給与の支払い元と福祉条件だけが違います。
でも、うちもビザのサポートをしてますよ。」
「仮になんですけど、不況やらで人員調整の解雇になったらどうなりますか?」
「うちを通して他の派遣先を探しますよ。」
「ちょっとコントラクターという雇用条件が不明点が多いので、軽くリサーチをしてみますよ。」
「分かりました。ではまた追って連絡しますね。」
アップルのコントラクターについて軽く調べてみると、あまりいい話は出てこなかった。まあ部署によっても違うのだろうけれど。
アメリカでも日本でよく聞く(というか2ちゃんねるでよく見る)派遣・正社員論争とそう変わりないようだった。僕に取っていちばんの問題は LinkedIn に書けないということだった。それでは次の転職の際に苦労することになる。
そもそもアップルは正社員でも労働環境が良くないというのに、コントラクターでは中々の地獄を見るのではないだろうか?
(今のところシリコンバレーであった人々の中で日曜日も仕事をしているのは、アップルで働く日本人だけだ。)
ま、電話がかかってきたら丁寧にお断りするとしよう。そう思ったが、フォローアップの電話はかかってこなかった。
時は変わって、2019年も Q2 あたりになるとこの辺の話題のプライバシーに報道が敏感になってきた。
4月ごろには Amazon Alexa の会話を従業員が聞いているという報道があった。
このようなシステムのバックグラウンドに従事している者としてこのニュースを初めて聞いた時には、そこまで驚きはしなかった。僕自身も似たようなことを仕事柄することもあるからだ。ただしそれは合法的に、前もって明確な了解を得られた会話に限る話だが。まあ僕も、そんな仕事をしていなければ、驚いただろう。
そして7月、似たような注目が Apple の Siri にも飛び火した。
あれ、この契約社員の案件、前に来てたやつじゃん!と思って楽しく記事を読んだ。
案件の話を聞いている時はプライバシーの話は全くなかったことはないにしても、それでも大きな注目はなかったと認識している。世論は短い時間で大きく変わるものだなあ、と思っていると続報が入ってきた。
Apple suspends Siri response grading in response to privacy concerns
アップルはプライバシー上の懸念に応えてSiriの応答評価を停止中 [日本語]
これは少し僕には予想外だった。まあアップルは昨年の年次会議からプライバシー保護を前面に押し出しているいるので筋の通る話ではあるし、このリアクションこそがアップルが真剣にニュースを受け止めているという証拠だろう。幹部陣の中にもきっと報道を受けて初めてなぜ会話の解析を行う必要があるか説明を受けた人もいることだろう。
はて、じゃあ契約社員の人々はどうなったのだろう?やはり契約終了になったのだろうか?僕は雇用条件的にこの仕事に就くことはきっとなかっただろうが、中々他人事にも思えない話だった。
第6回 | コーディングテスト - 練習編 |
第7回 | コーディングテスト - 実践編 |
第8回 | 不意打ち |
第9回 | 番外編:最近のプライバシー関連の報道で思い起こされる話。 |
第10回 | 待てど暮らせど |
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