tag:crieit.net,2005:https://crieit.net/tags/%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%83%87%E3%82%B6%E3%82%A4%E3%83%B3/feed 「ゲームデザイン」の記事 - Crieit Crieitでタグ「ゲームデザイン」に投稿された最近の記事 2020-11-10T12:32:11+09:00 https://crieit.net/tags/%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%83%87%E3%82%B6%E3%82%A4%E3%83%B3/feed tag:crieit.net,2005:PublicArticle/16183 2020-10-28T16:56:12+09:00 2020-11-10T12:32:11+09:00 https://crieit.net/posts/f4a9b0559a6b3dfac7d35a2f1e5d5aea ビデオゲームにおけるカタカナ語「ナラティブ」を別の言葉に置き換えて意味が通るか検証してみた <h3 id="2020/11/10更新"><a href="#2020%2F11%2F10%E6%9B%B4%E6%96%B0">2020/11/10更新</a></h3> <ul> <li>「形容詞」としているものは「形容動詞」であると指摘を受け、実際にそのとおりであったため「形容詞」を「形容動詞」に変更しました</li> <li>「副詞」としているものは、正確には「形容動詞の連用形」であったため、そのように変更しました</li> <li>松永伸司さんの氏名を誤って「松永真司」としていたので修正しました</li> </ul> <h1 id="乱用される言葉「ナラティブ」"><a href="#%E4%B9%B1%E7%94%A8%E3%81%95%E3%82%8C%E3%82%8B%E8%A8%80%E8%91%89%E3%80%8C%E3%83%8A%E3%83%A9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%96%E3%80%8D">乱用される言葉「ナラティブ」</a></h1> <p>かつて、ビデオゲームにおけるカタカナ語「ナラティブ」という言葉について、講演やSNS、ブログ等で説明が試みられ、多くの人がその意味を解釈しようと奮闘しつつも、一部の人は「理解した」と言い、また別の一部の人は「わからない」「混乱した」と理解ができない様相を呈するというような現象が起きました。</p> <p>この現象の経緯の概要を把握するためのまとめページとして「<a target="_blank" rel="nofollow noopener" href="https://sites.google.com/view/narrative-as-term-of-game/">ビデオゲームにおける「ナラティブ」について言及されたページを時系列で並べた資料</a>」というページを作成してあります。</p> <p>実際、この「ナラティブ」について説明を試みようとしている文章では、この「ナラティブ」という言葉を多様な品詞(名詞や形容動詞、形容動詞の連用形)で用いていたり、品詞が同じでも、異なる意味で使用していたりなど、「ナラティブ」という言葉の乱用が認められます。</p> <p>そこで、すでに「ナラティブ」について説明されている文の「ナラティブ」という言葉を、品詞を特定できる別の用語に置き換え、品詞が同じでも別の意味で用いている場合も別の言葉に区別して置き換えたときに、その意味が通る文になるのか、そして、その文は比較的わかりやすい文になるのかについて検証してみたいと思います。</p> <p>「ナラティブ」をメタな単語として用いている文(例「ナラティブという言葉が登場した」)は検証の対象とせず、「ナラティブ」という言葉に何か特別な意味を持たせて使用しているであろう文(例「このゲームはナラティブだ」「ナラティブなゲーム」「ナラティブを活用する」)を検証の対象にします。</p> <h1 id="品詞の違い"><a href="#%E5%93%81%E8%A9%9E%E3%81%AE%E9%81%95%E3%81%84">品詞の違い</a></h1> <p>最初に、ビデオゲームにおけるカタカナ語「ナラティブ」が日本語圏で最初に説明された文献として「<a target="_blank" rel="nofollow noopener" href="https://game.watch.impress.co.jp/docs/news/612286.html">【CEDEC 2013】世界で注目される概念「ナラティブ」とは何か? - GAME Watch</a>」を取り上げます。</p> <p>まずは、どの品詞として使われているのかを洗い出してみたいと思います。</p> <blockquote> <p>ナラティブとは、端的に言えば体験の中で形作られる体験者自身の物語のこと。</p> <p>ナラティブを存分に活かした作品としては「ドラゴンクエスト」が挙げられるという。</p> <p>ストーリー、自由度の偏りはナラティブを生まない</p> </blockquote> <p>まず、これらは「ナラティブ」という言葉を名詞として使用しています。</p> <blockquote> <p>ナラティブなゲーム</p> <p>人から押し付けられたものではない、自分の決断として物語を進めていけるこの方法は、ナラティブな工夫の1つとなっており、クリエーター同士で「ドラゴンクエスト方式」と簗瀨氏は呼んでいたそうだ。</p> <p>物語はふんだんにはあるものの、ナラティブな体験とは少し違う。</p> </blockquote> <p>これらは「ナラティブ」を「名詞を修飾する語」としての形容動詞として使用しています。</p> <p>この時点で「名詞」と「形容動詞」の2種類の使われ方があることがわかります。</p> <p>さらに別の記事には、以下のような用法があります。</p> <p><a target="_blank" rel="nofollow noopener" href="https://morikatron.ai/2019/04/gdc2019_narrative/">【GDC 2019】AIは感動的な物語体験をゲームで表現できるか? GDCに見る最新トレンド | モリカトロンAIラボ</a></p> <blockquote> <p>現実世界に適切なアイテムを配置して、それをナラティブに活用することで、より豊かな物語体験が演出できるようになると述べました。</p> </blockquote> <p>「ナラティブに活用する」の「ナラティブに」は、動詞を修飾する形容動詞の連用形です。</p> <p><strong>「名詞」「形容動詞」「形容動詞の連用形」と、文法的にもかなり多様に使われていることがわかります。</strong></p> <h1 id="意味を解釈してみる"><a href="#%E6%84%8F%E5%91%B3%E3%82%92%E8%A7%A3%E9%87%88%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%BF%E3%82%8B">意味を解釈してみる</a></h1> <h2 id="「ナラティブとは、端的に言えば体験の中で形作られる体験者自身の物語のこと」の解釈"><a href="#%E3%80%8C%E3%83%8A%E3%83%A9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%96%E3%81%A8%E3%81%AF%E3%80%81%E7%AB%AF%E7%9A%84%E3%81%AB%E8%A8%80%E3%81%88%E3%81%B0%E4%BD%93%E9%A8%93%E3%81%AE%E4%B8%AD%E3%81%A7%E5%BD%A2%E4%BD%9C%E3%82%89%E3%82%8C%E3%82%8B%E4%BD%93%E9%A8%93%E8%80%85%E8%87%AA%E8%BA%AB%E3%81%AE%E7%89%A9%E8%AA%9E%E3%81%AE%E3%81%93%E3%81%A8%E3%80%8D%E3%81%AE%E8%A7%A3%E9%87%88">「ナラティブとは、端的に言えば体験の中で形作られる体験者自身の物語のこと」の解釈</a></h2> <blockquote> <p>ナラティブとは、端的に言えば体験の中で形作られる体験者自身の物語のこと。</p> </blockquote> <p>ここで「ナラティブ」は名詞として使われていて、ストレートに「ナラティブ」の意味を定義しています。その意味は <strong>「体験の中で形作られる体験者自身の物語のこと」</strong> としています。</p> <p>一般的に「物語」と聞くと、何か具体的な情報媒体(本や映像、ゲームなど)上に表現されたものを連想します。しかし、ここで説明しているのは「体験の中で形作られる」と言っているので、具体的な情報媒体上に表現されたものではなく、記憶の中の”思い出”として生まれるものを「物語」と表現しています。</p> <p>単に「物語」とだけ言った場合、それは「出来事の連なり」についての内容、またはその内容について表現されたものを指し、「記憶」を指していることがわかりにくくなります。</p> <p>一般に、出来事についての記憶は「エピソード記憶」と呼ばれているため、ここでは「体験の中で形作られる体験者自身の物語のこと」は <strong>「エピソード記憶」</strong> と呼べるように思います。</p> <p>記事で説明している「体験の中で形作られる体験者自身の物語のこと」の「体験」は、人生のあらゆる体験を指しているわけでなく、記事中では特にビデオゲームで遊ぶ体験を指していると思われます。なので、本記事では「ビデオゲームで遊ぶ体験の中で形作られる体験者自身の物語のこと」を <strong>「ビデオゲームプレイのエピソード記憶」</strong> と訳していきたいと思います。</p> <h2 id="「ナラティブなゲーム」の解釈"><a href="#%E3%80%8C%E3%83%8A%E3%83%A9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%96%E3%81%AA%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%80%8D%E3%81%AE%E8%A7%A3%E9%87%88">「ナラティブなゲーム」の解釈</a></h2> <blockquote> <p>ナラティブなゲーム</p> </blockquote> <p>ここでは「ゲーム」という名詞を修飾している「形容動詞」です。先程、「ナラティブ」は「体験の中で形作られる体験者自身の物語のこと」と説明していましたが、これを応用して「ナラティブなゲーム」の意味を「体験の中で形作られる体験者自身の物語的なゲーム作品」とむりやり訳しても、その意味がちょっとわかりません。</p> <p>別の解釈として「体験の中で形作られる体験者自身の物語が作られるゲーム作品」、つまり <strong>「ビデオゲームプレイのエピソード記憶が作られるゲーム作品」</strong> として理解することはできそうです。しかし、プレイしたことのエピソード記憶が作られないゲーム作品というのは想像しにくく、どのようなゲーム作品であっても、プレイヤーが人であり、エピソード記憶能力に問題が無ければ、基本的にエピソード記憶が作られます。そのため、この解釈をしても、実質これは何も説明していない文になってしまいます。例えば「目で見ることのできるリンゴを「ビジブル・リンゴ」と呼びます」と言っているくらい無意味です。</p> <p>現時点では、その意味がはっきりしないので、いったん置いておきます。</p> <h2 id="「ナラティブを存分に活かした」の解釈"><a href="#%E3%80%8C%E3%83%8A%E3%83%A9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%96%E3%82%92%E5%AD%98%E5%88%86%E3%81%AB%E6%B4%BB%E3%81%8B%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%8D%E3%81%AE%E8%A7%A3%E9%87%88">「ナラティブを存分に活かした」の解釈</a></h2> <blockquote> <p>ナラティブを存分に活かした作品としては「ドラゴンクエスト」が挙げられるという。</p> </blockquote> <p>ここで「ナラティブ」は名詞として使われています。なので、先程の「ビデオゲームプレイのエピソード記憶」と置き換えることができそうです。実際に置き換えてみると、ここの文は <strong>「ビデオゲームプレイのエピソード記憶を存分に活かした作品」</strong> となります。これは直感的にもおかしいことがわかります。</p> <p>あるビデオゲーム作品をプレイしたエピソード記憶は、そのゲーム作品ができあがったあとに生まれるものなので、そもそも、そのビデオゲームプレイのエピソード記憶を、その作品の内容に活かすことはできません。</p> <p>「ナラティブを活かした」という言い方なので「何かしらの手法を適用した」と解釈をすることができます。(その正体は不明ですが)そこで、本記事では「何かしらの手法」として「ナラティブ」という言葉を使っている箇所を一旦 <strong>「ナラティブ術」</strong> と言い換え、手法であることがわかるような言葉に置き換えたいと思います。</p> <h2 id="「ナラティブな工夫」の解釈"><a href="#%E3%80%8C%E3%83%8A%E3%83%A9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%96%E3%81%AA%E5%B7%A5%E5%A4%AB%E3%80%8D%E3%81%AE%E8%A7%A3%E9%87%88">「ナラティブな工夫」の解釈</a></h2> <blockquote> <p>自分の決断として物語を進めていけるこの方法は、ナラティブな工夫の1つとなっており、クリエーター同士で「ドラゴンクエスト方式」と簗瀨氏は呼んでいたそうだ。</p> </blockquote> <p>ここで言う「ナラティブな工夫」の「ナラティブな」は形容動詞として述べらおり、その対象は「工夫」です。</p> <p>「工夫」を形容する言葉の例として「賢い工夫」や「役立たない工夫」「簡単な工夫」「難しい工夫」などが挙げられ、これらは「ある工夫」についての属性や特徴を説明しています。同様に「ナラティブな工夫」といった場合についても、特定の「ある工夫」について詳しく説明したものであるはずです。</p> <p>すでに解釈した「ビデオゲームプレイのエピソード記憶」という意味を適用しても、その意味がわかりません。</p> <p>「ビデオゲームプレイのエピソード記憶が生まれるような工夫」と解釈できなくもないですが、ビデオゲーム作品であるならば、そのプレイの記憶は必然的に生まれるので、あえて工夫をするようなものではありません。</p> <p>しかし、前述で一時的に「ナラティブ術」として置いた「何かしらの手法」という意味を適用すれば「ナラティブな工夫」という言葉全体を、その「何かしらの手法」として解釈できそうです。</p> <p>引用文から該当の言葉を置き換えても「自分の決断として物語を進めていけるこの方法は、ナラティブ術の1つとなっており」となり、意味が通ります。</p> <h2 id="「ナラティブな体験」の解釈"><a href="#%E3%80%8C%E3%83%8A%E3%83%A9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%96%E3%81%AA%E4%BD%93%E9%A8%93%E3%80%8D%E3%81%AE%E8%A7%A3%E9%87%88">「ナラティブな体験」の解釈</a></h2> <blockquote> <p>物語はふんだんにはあるものの、ナラティブな体験とは少し違う。</p> </blockquote> <p>ここの「ナラティブな体験」を「ビデオゲームプレイのエピソード記憶を作る体験」や「ナラティブ術の体験」と訳しても、その意味がいまいちつかめません。</p> <p>先述の「ナラティブ術」(今は正体不明の何らかの手法)を適用したデザインを鑑賞したときの感覚、と解釈すれば、一応意味が通ります。</p> <h2 id="総括"><a href="#%E7%B7%8F%E6%8B%AC">総括</a></h2> <p>ここまで書いてちょっと疲れたので、もう総括してしまいます。</p> <p>取り上げた記事では、様々な意味で「ナラティブ」という言葉を用いており、そのナラティブの意味を厳密な理屈として解釈しようとすれば混乱してしまうような説明となっていました。</p> <p>しかし、それぞれを「(今は正体不明の何らかの手法としての)ナラティブ術」に関連させると、意味が通るのではないかと考えます。</p> <p>最初の</p> <blockquote> <p>ナラティブとは、端的に言えば体験の中で形作られる体験者自身の物語のこと。</p> </blockquote> <p>という説明も、上記ではいったん「ビデオゲームプレイのエピソード記憶」と解釈しましたが、「(今は正体不明の何らかの手法としての)ナラティブ術を適用したデザインを鑑賞したときのエピソード記憶」と解釈しなおせば、その特別な意味に少し近づけた気がしてきます。</p> <p>「ナラティブな工夫」も、その術そのものを指し、「ナラティブな体験」についても、先述した通りです。</p> <p>というわけで、当時一部で騒がれた「ナラティブ」論は、その全てがデザイン手法に起因する何か、と解釈したうえで、次回は松永伸司氏の『ナラティブを分解する』を読んでみたいと思います。</p> <p>おつかれさまでした。</p> mozukichi tag:crieit.net,2005:PublicArticle/15604 2019-12-13T07:00:13+09:00 2019-12-16T10:47:08+09:00 https://crieit.net/posts/8c6ea63d44ba74297a937d056779a6dc 続けたいと思うゲームとやめちゃうゲーム - カードゲーム編 <p>僕は例えば遊戯王とかのような対戦カードゲームが好きで、ゲームが出るたびに割と色々やっていると思う。その中には続けたものもあれば、やめてしまったものもある。自分でもゲームづくりは好きなので、ゲームしながらもこのゲームは何がいいのか、悪いのかというゲームデザイン的なものを考えたりもする。色々と思い出しながら書いてみる(とはいえやっぱプレイヤー目線ではある)。</p> <p>ちなみに今やっているゲームはMTG Arenaで、Shadowverseも超極稀にやっている。それ以前にやったことがあるのは遊戯王オンライン等や、無名のものいくつか。</p> <p>ちなみにここで書くことは全部主観。年齢によっても全然違うなと思うので、実際にゲームデザインを考えるのは色々な人のパターンを考える必要があって非常に難しそうだなと思う。</p> <h2 id="良くないところ"><a href="#%E8%89%AF%E3%81%8F%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%A8%E3%81%93%E3%82%8D">良くないところ</a></h2> <p>良くなかったなと感じるものをいくつかあげていく。</p> <h3 id="お金がかかりすぎる"><a href="#%E3%81%8A%E9%87%91%E3%81%8C%E3%81%8B%E3%81%8B%E3%82%8A%E3%81%99%E3%81%8E%E3%82%8B">お金がかかりすぎる</a></h3> <p>PC版遊戯王オンラインは2つのバージョンがあり、最初のバージョンはデュエルするためには課金が必要だった。しかしわりと貢いでいた気がする。今だったらやらないと思うが、当時はまともな対戦型カードゲームがそれしか無かった&対戦自体が非常に面白かった&トレードで課金をある程度避けることが出来た、というところでわりとやっていた。</p> <p>繰り返しになるが今だったら絶対やらない。</p> <h3 id="ゲームバランスがひどい"><a href="#%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%83%90%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%81%8C%E3%81%B2%E3%81%A9%E3%81%84">ゲームバランスがひどい</a></h3> <p>ゲームバランスの悪さが顕著なのが多分遊戯王カードゲーム自体のシンクロ登場後。ずっと俺のターンされて一瞬で飽きた。自分もそれをやるために強化しようとは全く思えなかった。ちなみにシンクロ導入のためのタイミングでPC版遊戯王オンラインはバージョンアップしたのだが、その後あっという間に閉鎖した(他にも色々と要因はありそうだけど)。</p> <p>そういえばShadowverseをやめたのも意味不明に強いカードがいくつも投入されてそればっかりにやられるようになったため。まあShadowverseは元々初期からそういうところがあったけど…。</p> <h3 id="報酬を得にくい"><a href="#%E5%A0%B1%E9%85%AC%E3%82%92%E5%BE%97%E3%81%AB%E3%81%8F%E3%81%84">報酬を得にくい</a></h3> <p>これはプレイしている間に閉鎖したカードゲームだけど、とにかく報酬が少なかった。こういうカードゲームはだいたいデイリークエストみたいなのがあってそれをクリアすると報酬を得ることができ、無課金でも強化していけるようになっている。だけどこのゲームはたしか報酬を得るために1日にたしか5回とか10回とか勝たないといけない、とかそんな感じだった。</p> <p>こういうカードゲームをやったことがある人であればわかるかもしれないが、対戦型カードゲームはじゃんけんの要素も非常に高く、強化しても必ず勝てるわけではない。しかもそんなに強化しているわけでないのであればそんなに勝率も高くない。それを1日に5回や10回も勝てというのは一体毎日何時間時間を使わせるつもりなのか、と思わされるレベル。</p> <p>このゲームは閉鎖したのだが、そのちょっと前から僕自身もあまりやらなくなっていた。しんどい思いして報酬が少ないというのはゲームバランスが悪いので厳しい。もちろん課金させたいのでそうしているのだろうとは思うが、無課金ユーザーをあるていど囲い込まなきゃいけないというのも対戦ゲームはどうしてもあるので、そのバランスは色々と検討が必要となる。</p> <h3 id="どうでもいいことばかりやらされる"><a href="#%E3%81%A9%E3%81%86%E3%81%A7%E3%82%82%E3%81%84%E3%81%84%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%B0%E3%81%8B%E3%82%8A%E3%82%84%E3%82%89%E3%81%95%E3%82%8C%E3%82%8B">どうでもいいことばかりやらされる</a></h3> <p>遊戯王はその後スマホで対戦ができるデュエルリンクスというゲームがリリースされた。今は知らないが、当時は昔のカードだけで対戦する感じで、最高に楽しかった。しかし、それでもやめてしまった。なぜか。</p> <p>それはデイリークエストをこなすために街にいるMOBと戦わないといけなかったため。当然MOBは弱いし意味不明な行動パターンを使ってくるし、対人対戦と比べてワクワク感が全く無い。そもそも対人対戦するためにゲームしているのになぜMOBと戦わないとならないのか謎すぎて仕方なかった。完全に時間の無駄に感じる様になったのでやめた。</p> <h2 id="良いところ"><a href="#%E8%89%AF%E3%81%84%E3%81%A8%E3%81%93%E3%82%8D">良いところ</a></h2> <p>良くないところの逆みたいになるところもあるが一応。</p> <h3 id="ゲームバランスが良い"><a href="#%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%83%90%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%81%8C%E8%89%AF%E3%81%84">ゲームバランスが良い</a></h3> <p>当然だけどこれは必須。MTG Arenaは何もいじってない初期デッキでも割と勝てるし、そもそも初期デッキがたくさんあるのでデッキ作る暇がない勢にも優しくかなり楽しい。</p> <p>あとは禁止カードや制限カードがちゃんと整備されていると良い。遊戯王オンラインもバージョンアップ前は割といい感じに調整されていた気がするのだけど…。</p> <p>こういうカードゲームの傾向として、ジャンルによってデッキに特徴があるので、それこそじゃんけんの用な感じで相性があったりして買ったり負けたりという感じで、バランスが良いと楽しい。</p> <h3 id="無課金でも遊べる"><a href="#%E7%84%A1%E8%AA%B2%E9%87%91%E3%81%A7%E3%82%82%E9%81%8A%E3%81%B9%E3%82%8B">無課金でも遊べる</a></h3> <p>僕が非課金勢ということもあるのだが、とにかく無課金でも楽しく遊べると良い。MTG Arenaは昼休みにプレイするだけでも割とゲーム内通貨がたまる。それをイベントで使うと課金でしか手に入らない通貨もたまり、課金アイテムを無課金で購入できる。わりとこういうのは優越感を得ることができるので絶妙なバランスでデザインされているとハマる。</p> <p>もちろんあまり得意じゃない人やもっと時間がない人は課金して時間を買って効率的に楽しむことができるので課金自体がメリットとなる。そういうバランスになっていると全員にメリットがあって良い。</p> <h2 id="デイリークエストのバランスが良い"><a href="#%E3%83%87%E3%82%A4%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%82%A8%E3%82%B9%E3%83%88%E3%81%AE%E3%83%90%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%81%8C%E8%89%AF%E3%81%84">デイリークエストのバランスが良い</a></h2> <p>MTG Arenaが続けやすいのはデイリークエストのバランスが良いというところもある。例えば「青か赤の呪文を20回唱える」のようなクエスト。単にゲーム中にカードを場に出すだけでそのうち達成できる。</p> <p>これと相反するのがShadowverse。具体的にはあるキャラクターで3回勝利する、というもの。つまり、勝つということをデイリークエストに入れてしまうというもの。これだけでプレイ時間が大幅にかわってしまう。そもそも昼休憩だけでは達成できなくなる可能性も非常に高くなる。そうなると報酬も得られないし、続ける意味も薄くなってしまってそのうちやめてしまう(よくよく考えたらシャドバはデイリーじゃないので消えはしないが)。勝敗を条件にするというのはそれほど怪しい部分なので、きっちりデザインする必要がある。</p> <p>ちなみにMTG Arenaはデイリークエストを3日間までなら持ち越せるという仕様もある。僕の場合、仕事をしている平日の昼休憩にやっているのだが、その関係で休日は全くやらない。そうなるとデイリークエストの報酬を通常だと得られないのだが、3日間持ち越せることで7日分きっちり得ることができるようになっている。これは本当にありがたい。よく考えられているなと思った。</p> <h2 id="まとめ"><a href="#%E3%81%BE%E3%81%A8%E3%82%81">まとめ</a></h2> <p>色々考えるともっと色々あるかもしれないが、とりあえずこんなところだろうか。とにかく楽しめて、負担にならないレベルでも継続しようと思わせてくれるゲームは素晴らしいと思う。</p> <p>僕が時間がない勢なので今回の記事のような話になったが、逆に廃人勢が求めるものも同時に満たしていることが必要となる。そう考えるとあらゆる人に優しいゲームデザインは本当に難しいなと思う。</p> だら@Crieit開発者 tag:crieit.net,2005:PublicArticle/15569 2019-12-01T07:00:13+09:00 2019-12-02T12:40:19+09:00 https://crieit.net/posts/5c1cefa61ac0104cf4fe62f611cf6a29 「ビデオゲームの内容を考えて決める」という行為は、具体的に何について考えて決める行為なのかを考えてみたい <p>記事のタイトルが物々しい表現になっていますが、本文はゆるい感じで書きます。油断すると物々しくなるかもしれないです。論理的な誤りや曖昧な表現ができるだけ入らないようにしようとするためです。ただ、文体が物々しくなってしまっては、その文章を読むための認知負荷が高まってしまい、意図せず読者を限定してしまうので、それは避けたいところです。というこの文自体が物々しくなってしまっています。</p> <p>言い換えます。なんか難しいっぽい感じで書いても、「ゲームを作りたい!」と思っている多くの人に内容を届けられにくくなるので、ゆるふわっぽい感じで書きたいです。(「誰のための文章なのか」ということをよく考えたいです)(ゆるふわっぽく書けるとは言っていない)(ここでいう「ゆるふわっぽく」とは「曖昧な概念を使う」ということではないが、「ゆるふわ」自体が曖昧な概念でありパラドックスを生む)</p> <p>内容の不備があったらご指摘いただけると幸いです。</p> <h1 id="「デザイン」「ゲームデザイン」という言葉について"><a href="#%E3%80%8C%E3%83%87%E3%82%B6%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%80%8D%E3%80%8C%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%83%87%E3%82%B6%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%80%8D%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E8%A8%80%E8%91%89%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6">「デザイン」「ゲームデザイン」という言葉について</a></h1> <p>念のため説明しておきますが、本記事における「デザイン」という言葉の意味は「設計」つまり「<strong>ものごとの内容を考えて決める行為、またはその成果物</strong>」として用います。</p> <p><a href="https://crieit.now.sh/upload_images/65a03fc96b5121066fe956199e62ea735dba3461d5054.jpg" target="_blank" rel="nofollow noopener"><img src="https://crieit.now.sh/upload_images/65a03fc96b5121066fe956199e62ea735dba3461d5054.jpg?mw=700" alt="デザインとは考えて決めること.jpg" /></a></p> <p>よって本記事における「ゲームデザイン」という言葉は、「ゲームの内容を考えて決める行為、またはその成果物」を単純に指し、「ゲームデザインとはかくあるべきである」「本物のゲームデザインとはこうである」のような<a target="_blank" rel="nofollow noopener" href="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%AA%AC%E5%BE%97%E7%9A%84%E5%AE%9A%E7%BE%A9">説得的定義</a>は含みません。(「偽物のゲームデザイン」ってなんだろう🤔)</p> <p>「期待される成果が生まれるゲームデザイン行為、またはその成果物」を指す場合は「良いゲームデザイン」という言葉を用います。</p> <p>いきなりゆるふわ感のない説明でごめんなさい。</p> <h1 id="「ゲームの内容を考えて決める」という行為が具体的に何について考えて決めることなのかを知りたい"><a href="#%E3%80%8C%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%81%AE%E5%86%85%E5%AE%B9%E3%82%92%E8%80%83%E3%81%88%E3%81%A6%E6%B1%BA%E3%82%81%E3%82%8B%E3%80%8D%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E8%A1%8C%E7%82%BA%E3%81%8C%E5%85%B7%E4%BD%93%E7%9A%84%E3%81%AB%E4%BD%95%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%E8%80%83%E3%81%88%E3%81%A6%E6%B1%BA%E3%82%81%E3%82%8B%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%81%AE%E3%81%8B%E3%82%92%E7%9F%A5%E3%82%8A%E3%81%9F%E3%81%84">「ゲームの内容を考えて決める」という行為が具体的に何について考えて決めることなのかを知りたい</a></h1> <p>「よし、ゲーム作るぞ」と意気込んだはいいものの、ゲームの実装をする前に「どのような内容のゲームにするのか」を考えて決める必要があります。</p> <p><a href="https://crieit.now.sh/upload_images/67ffbc044db1f0196424b03989a886315db8eeb609ca6.jpg" target="_blank" rel="nofollow noopener"><img src="https://crieit.now.sh/upload_images/67ffbc044db1f0196424b03989a886315db8eeb609ca6.jpg?mw=700" alt="ゲームの作り方.jpg" /></a></p> <p>これは、実装前にゲームのすべての仕様を決めてから実装に取り掛かる場合だけでなく、実装をしながら仕様を決めていくような場合であっても「とりあえず、次に何を実装するのか」を考えて決めなければ、その「とりあえず次に実装するもの」の実装に取り掛かることができません。そのため「ゲームデザイン(ゲームの内容を考えて決める)」という行為において「具体的に何を考えて決める必要があるのか?」という問いに答える内容は、ゲームデザイン行為への指針となり、<strong>経験と勘に頼らないゲームデザイン</strong>を行うための道具となります。</p> <p><a href="https://crieit.now.sh/upload_images/c0a641098f82d2aa5462f8471e51df4c5db8e921d905a.jpg" target="_blank" rel="nofollow noopener"><img src="https://crieit.now.sh/upload_images/c0a641098f82d2aa5462f8471e51df4c5db8e921d905a.jpg?mw=700" alt="ゲームデザインを理論的に考える" /></a></p> <p>物事を具体的に捉えようとする場合、その物事を構成している要素が何なのかを明らかにすることが、その物事を詳しく知ることの手がかりとなります。つまり、その対象を”分解"します。</p> <p>ということで、「ゲームデザインは、何をデザインする行為で構成されているのか」という”分解”を行うことが「ゲームデザインとは、具体的に何を考えて決めることなのか」について明らかになることに繋がりそうです。</p> <p>まずはその取っ掛かりとして「ゲームを構成する要素」の分解を試みた事例から、それをデザイン要素として捉えることができるのかについて考えてみます。</p> <h1 id="ゲームを構成する要素の分解を試みた事例を評価する"><a href="#%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%92%E6%A7%8B%E6%88%90%E3%81%99%E3%82%8B%E8%A6%81%E7%B4%A0%E3%81%AE%E5%88%86%E8%A7%A3%E3%82%92%E8%A9%A6%E3%81%BF%E3%81%9F%E4%BA%8B%E4%BE%8B%E3%82%92%E8%A9%95%E4%BE%A1%E3%81%99%E3%82%8B">ゲームを構成する要素の分解を試みた事例を評価する</a></h1> <p>ゲームを構成する要素の分解を試みた事例があり、それぞれが今回の目的である「ゲームデザインは、何をデザインする行為なのか」を詳しく知るための枠組み(要素の集まり)として利用可能かどうかを検証します。</p> <h2 id="ゲームデザインの枠組みとして利用可能かどうかを評価する基準"><a href="#%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%83%87%E3%82%B6%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%81%AE%E6%9E%A0%E7%B5%84%E3%81%BF%E3%81%A8%E3%81%97%E3%81%A6%E5%88%A9%E7%94%A8%E5%8F%AF%E8%83%BD%E3%81%8B%E3%81%A9%E3%81%86%E3%81%8B%E3%82%92%E8%A9%95%E4%BE%A1%E3%81%99%E3%82%8B%E5%9F%BA%E6%BA%96">ゲームデザインの枠組みとして利用可能かどうかを評価する基準</a></h2> <p>達成したいことは「ゲームの内容を考えて決める、という行為が、具体的に何を考えて決める必要があるのかを明らかにして、ゲームデザイン行為の円滑化を促すこと」です。わかりやすい言い方をすると「ゲームの内容を考えて決めるときに、何をすればいいのかわからなくなって迷わないようになること」です。</p> <p>そのために必要なゲームデザインの枠組みを評価する基準として、以下のものを考えます。</p> <div class="table-responsive"><table> <thead> <tr> <th>基準</th> <th>説明</th> </tr> </thead> <tbody> <tr> <td>デザイン可能性</td> <td>要素それ単体が具現化可能なデザイン対象であるかどうか</td> </tr> <tr> <td>適度な粒度</td> <td>デザインの対象として、実用的なレベルまで分解された粒度かどうか</td> </tr> </tbody> </table></div> <h3 id="要素がデザイン可能なものか"><a href="#%E8%A6%81%E7%B4%A0%E3%81%8C%E3%83%87%E3%82%B6%E3%82%A4%E3%83%B3%E5%8F%AF%E8%83%BD%E3%81%AA%E3%82%82%E3%81%AE%E3%81%8B">要素がデザイン可能なものか</a></h3> <p>ゲーム制作は、デザイン(内容を考えて決める行為)をしたあとに実装、つまり具現化をします。例えば「制限時間3分で試合終了」というルールをデザインした(考えて決めた)あとに、実際にそのルールをプログラムで実装することができます。そのため、デザイン対象となる要素の内容を考えて決めたあと、その内容を実装、具現化することが可能であることが必要です。</p> <p>もし、ゲームデザイン要素として挙げられている要素がデザインの対象ではなく成果物の「属性」や「性質」「特徴」を指している場合は、それ単体で実装、具現化をすることができません。例えば、極端な例を挙げると「面白さ」や「すごさ」のような概念や属性のような要素は、成果物の性質、特徴であって、デザインの対象ではありません。(「面白さ」や「すごさ」そのものを単体で実装できない)</p> <p><a href="https://crieit.now.sh/upload_images/688954408fad99b30bc6db88365a0aac5dba39326a479.jpg" target="_blank" rel="nofollow noopener"><img src="https://crieit.now.sh/upload_images/688954408fad99b30bc6db88365a0aac5dba39326a479.jpg?mw=700" alt="デザイン可能性.jpg" /></a></p> <h3 id="要素が適度な粒度か"><a href="#%E8%A6%81%E7%B4%A0%E3%81%8C%E9%81%A9%E5%BA%A6%E3%81%AA%E7%B2%92%E5%BA%A6%E3%81%8B">要素が適度な粒度か</a></h3> <p>各要素がデザイン対象として適度な粒度かどうかを考えます。</p> <p>デザイン対象となる要素の粒度が荒い(抽象度が高い場合)は、デザイン行為の際に「迷い」が発生しやすいです。「迷う」ということは、さらに分解されるであろう要素が曖昧に想像されるがゆえであると考えられます。例えば「雰囲気」をデザインする、と考えても「雰囲気に影響するのは外観?絵柄?音楽?文字?セリフ?書体?エフェクト?トランジション?ロード時間?操作方法?テンポ感?手触り感?エモさ?キャラクターの生い立ち?これら全部?それとも関係ないのもある?まったくわからん」というように、迷いと混乱が生まれます。</p> <p>補足ですが「抽象的であること(具体化の余地があること)」と「曖昧であること(複数の異なる意味で捉えられること)」は、カッコ書きで示しているように意味が違い、上記の説明では「抽象的すぎるかどうか」を評価するという説明ですが、「曖昧であるかどうか」は説明していません。ただ、上記の例で示した「雰囲気」に関しては「曖昧である(人によってその意味・内容について異なる解釈をしている可能性がある)」という問題はあります。</p> <p>次に、ゲームデザインの内容が強く制限されてしまうような要素は、粒度として「細かすぎる」(概念として具体的すぎる)と評価できます。例えば「プレイヤーキャラクターの髪の毛の色」という要素は「プレイヤーは髪の毛を持っている何か生き物のキャラクターである」という、すでにデザイン済みの制限をかけています。このような場合は、例えば「プレイヤーキャラクターはロボットにする」という対応ができませんし、さらに「プレイヤーキャラクターなる概念の存在しない、風景が移ろいゆくゲーム」のようなゲームもデザインできません。(実際、「シムシティ」なんかはプレイヤーキャラクターなんて居ませんよね)</p> <h2 id="「ビデオゲームを構成する3つの要素」"><a href="#%E3%80%8C%E3%83%93%E3%83%87%E3%82%AA%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%92%E6%A7%8B%E6%88%90%E3%81%99%E3%82%8B3%E3%81%A4%E3%81%AE%E8%A6%81%E7%B4%A0%E3%80%8D">「ビデオゲームを構成する3つの要素」</a></h2> <p>島国大和さんが「<a target="_blank" rel="nofollow noopener" href="https://web.archive.org/web/20190510094911/http://dochikushow.blog3.fc2.com/blog-entry-2629.html">不毛ながらゲーム性の定義 島国大和のド畜生</a>」というブログ記事の中で「ビデオゲームを構成する3つの要素」という項目を扱っています。</p> <p>そちらで説明している構成要素とその内容の説明を表にしたものが以下のものです。</p> <div class="table-responsive"><table> <thead> <tr> <th>構成要素</th> <th>要素がもつ共通な性質の説明(内包)</th> <th>具体例(外延)</th> </tr> </thead> <tbody> <tr> <td>システム</td> <td>ゲーム全体の仕組み</td> <td>なし</td> </tr> <tr> <td>フレーバー</td> <td>ゲームの雰囲気周辺</td> <td>「猿が踊る」「ロシア民謡が流れる」「世界観」</td> </tr> <tr> <td>ボリューム</td> <td>ゲームの物量</td> <td>「全部で100面ある」「総プレイ時間200時間」「モンスターが151匹」「クエスト1000個」</td> </tr> </tbody> </table></div> <p>この分類が、今回の目的である「ゲームデザインは、何をデザインする行為なのか」を詳しく知るための枠組みとして十分に利用可能かどうか、を考えてみます。</p> <p>この枠組を素直に使う場合、ゲームデザインという行為は「システムをデザインする」「フレーバーをデザインする」「ボリュームをデザインする」という3つのデザイン行為が含まれることになります。</p> <h3 id="「システムをデザインする」とは何か"><a href="#%E3%80%8C%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0%E3%82%92%E3%83%87%E3%82%B6%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%81%99%E3%82%8B%E3%80%8D%E3%81%A8%E3%81%AF%E4%BD%95%E3%81%8B">「システムをデザインする」とは何か</a></h3> <p>上記のブログ記事では「システムはゲーム全体の仕組み」と説明され、<strong>その一部に「ゲームのルール」がある</strong>、と説明されていました。<a target="_blank" rel="nofollow noopener" href="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%83%B3%E5%9B%B3">ベン図</a>を使って包含関係を示すと以下のようになります。</p> <p><a href="https://crieit.now.sh/upload_images/8d899a859b9a60b4889b2e3d4138c49a5db8fe02b95c3.jpg" target="_blank" rel="nofollow noopener"><img src="https://crieit.now.sh/upload_images/8d899a859b9a60b4889b2e3d4138c49a5db8fe02b95c3.jpg?mw=700" alt="システムとゲームのルールのベン図.jpg" /></a></p> <p>つまり「システムをデザインする行為」とは「ゲームのルールをデザインする行為」と「ゲームのルール<strong>以外</strong>のシステムをデザインする行為」の2つに分類されることとなります。</p> <p>しかし、上記記事では「ゲームのルール<strong>以外</strong>のシステム」が何を指しているかの説明が無かったため、「ゲームのルール<strong>以外</strong>のシステムをデザインする行為」が何を意味するのかについて詳しく検証することができません。</p> <p><a href="https://crieit.now.sh/upload_images/c2e07dac0ccbe7cdeb57c2fe6ad4a5095db90151bd7ac.jpg" target="_blank" rel="nofollow noopener"><img src="https://crieit.now.sh/upload_images/c2e07dac0ccbe7cdeb57c2fe6ad4a5095db90151bd7ac.jpg?mw=700" alt="ゲームのルール以外のシステムは何.jpg" /></a></p> <p>TODO: ゲームのルールについて</p> <h2 id="「フレーバーをデザインする」とは何か"><a href="#%E3%80%8C%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%92%E3%83%87%E3%82%B6%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%81%99%E3%82%8B%E3%80%8D%E3%81%A8%E3%81%AF%E4%BD%95%E3%81%8B">「フレーバーをデザインする」とは何か</a></h2> <p>上記の「フレーバー」の説明は「ゲームの雰囲気周辺」となっており、具体例は「猿が踊る」「ロシア民謡が流れる」「世界観」が挙げられていました。</p> <p>「ゲームの雰囲気周辺」という説明のみから何をデザインするのかを考える場合「ゲームの雰囲気となるもの」と「ゲームの雰囲気とならないもの」の境界を探ることになります。</p> <p>ブログ記事では、対極の例、つまり「フレーバーが無い場合」の説明と思われる例として</p> <blockquote> <p>インベーダーゲームも、敵も味方も四角形で表現したとしてゲームとしては成立するが物足りない。</p> </blockquote> <p>を挙げています。つまり「敵も味方も四角形で表現した場合」は「フレーバーが無い」状態であるとして説明しており、実際の「スペースインベーダー」では、プレイヤーは「レーザーを撃つ砲台」、敵は「宇宙人」を模しているとされています。</p> <p>例として挙げられる「猿が踊る」「世界観」「レーザーを撃つ砲台」「宇宙人」という具体例それぞれがもつ共通の性質として考えられるのは、それらが「虚構世界(フィクション)上のもの」であるという点です。つまり、少なくとも「虚構世界(フィクション)をデザインすること」は「フレーバーをデザインすること」に含まれると考えて良さそうです。</p> <p>一つ、「ロシア民謡が流れる」に関しては排除して考えていました。「ロシア民謡が流れる」は「テトリス」の例であり、ゲーム中に流れるロシア民謡はBGMであるため、それは「虚構世界(フィクション)上の出来事」ではありません。もし、それが「虚構世界(フィクション)上の出来事として流れる音楽(例えば「音楽プレイヤーを持ったキャラクターが登場して、再生ボタンを押した」など)」であるならば、その音楽も「虚構世界(フィクション)」の要素として考えて良いです。</p> <p>BGMは文字通り「それはBGMというものである」とするなら、ここで言う「フレーバー」を構成する要素は「虚構世界(フィクション)」と「BGM」となり、以下の図のようになります。</p> <p><a href="https://crieit.now.sh/upload_images/4e02bc16fa4e57027233dae1322d06345db912026d321.jpg" target="_blank" rel="nofollow noopener"><img src="https://crieit.now.sh/upload_images/4e02bc16fa4e57027233dae1322d06345db912026d321.jpg?mw=700" alt="フレーバーを構成する要素.jpg" /></a></p> <p>「虚構世界(フィクション)」と「BGM」の抽象度が異るためか、いびつな印象があります。</p> <h2 id="「ボリュームをデザインする」とは何か"><a href="#%E3%80%8C%E3%83%9C%E3%83%AA%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%92%E3%83%87%E3%82%B6%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%81%99%E3%82%8B%E3%80%8D%E3%81%A8%E3%81%AF%E4%BD%95%E3%81%8B">「ボリュームをデザインする」とは何か</a></h2> <p>「ボリューム」は「ゲームの物量」と説明されており、具体例として「ステージ数の多さ」「プレイ時間の長さ」などが挙げられています。</p> <p>まず「あるデザイン対象の要素の種類の数をどの程度の量にするのか」という意思決定は「ゲームの内容を考えて決める行為」に含まると考えて良さそうです。</p> <p>しかし、例で挙げられている「ステージ数」「モンスターの数」「クエストの数」は、それぞれ全く同じ内容のコピーが数多く作られるわけではありません。ここで言う「ボリューム」が意味するところとして重要なのは「その数」ではなく「様々な異なる種類がある」という点であると考えられます。そのため、ゲームデザイン要素の呼び名としては「ボリューム」というより「多様性(バラエティ)」とした方が、より体をなしていると考えられます。</p> <h2 id="ゲームデザインの枠組みとしての利用可能性"><a href="#%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%83%87%E3%82%B6%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%81%AE%E6%9E%A0%E7%B5%84%E3%81%BF%E3%81%A8%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%AE%E5%88%A9%E7%94%A8%E5%8F%AF%E8%83%BD%E6%80%A7">ゲームデザインの枠組みとしての利用可能性</a></h2> <p>島国大和さんの「ビデオゲームを構成する3つの要素」で挙げられた内容から読み取れる、ゲームデザインの対象となる要素には以下のものがありました。</p> <ul> <li>ゲームのルール</li> <li>虚構世界(フィクション)</li> <li>BGM</li> <li>ボリューム(バラエティ)</li> </ul> <p>次で、ゲームデザインの枠組みとして利用可能かどうかについて考えます。</p> <h3 id="デザイン可能性"><a href="#%E3%83%87%E3%82%B6%E3%82%A4%E3%83%B3%E5%8F%AF%E8%83%BD%E6%80%A7">デザイン可能性</a></h3> <p>「ボリューム(バラエティ)」に関しては、これはデザイン対象ではなく、デザインの成果物が持ちえる属性であるため、ゲームデザイン要素として利用できません。</p> <p>ボリュームを「量」として捉えた場合は、成果物の「量」という属性となり、「量」そのものは(単独で)デザインできません。ボリュームをバラエティ(多様性)と捉えた場合も、成果物が様々な種類を持っているかどうかという「属性」であり、バラエティ(多様性)そのものは(単体で)デザインできません。</p> <p>「ゲームのルール」「虚構世界(フィクション)」「BGM」は、デザイン対象であると言えます。</p> <h3 id="適度な粒度"><a href="#%E9%81%A9%E5%BA%A6%E3%81%AA%E7%B2%92%E5%BA%A6">適度な粒度</a></h3> <p>それぞれの要素が適度な粒度であるか考えます。</p> <p>もし、「ゲームのルール」を考えて決める必要に迫られた場合、ルールの何をまず決めたら良いのか、そもそもルールとは何か、という迷いが発生しそうです。「ゲームのルール」を手際良くその内容を決められる場合は、そのとき理解している「ルールを構成する要素」を基準に決めていると思われます。つまり「ゲームのルール」という概念は、デザイン対象の要素としてさらに分解できる余地を残していることになります。</p> <p>「虚構世界(フィクション)」「BGM」も同様で「虚構世界(フィクション)を構成する要素」に分解できる余地を残しているように思います。ただ「BGM」に関するデザイン要素は、突き詰めると楽曲制作の専門的知識に関わる要素まで掘り下げられそうですが、あくまでゲームデザイン行為としての範疇としてのデザイン要素としても、まだ分解はできそうです。つまり、ゲームデザインという行為において「BGM」の何を考えて決める必要があるのか、という点です。</p> <p>「ボリューム」は、そもそもデザイン対象ではないので、粒度を検証できません。</p> <h3 id="評価結果"><a href="#%E8%A9%95%E4%BE%A1%E7%B5%90%E6%9E%9C">評価結果</a></h3> <p>「ビデオゲームを構成する3つの要素」(4つになりましたが)の評価結果は以下のようになります。</p> <div class="table-responsive"><table> <thead> <tr> <th>デザイン要素</th> <th>デザイン可能性</th> <th>適度な粒度</th> </tr> </thead> <tbody> <tr> <td>ゲームのルール</td> <td>◯</td> <td>✕</td> </tr> <tr> <td>虚構世界(フィクション)</td> <td>◯</td> <td>✕</td> </tr> <tr> <td>BGM</td> <td>◯</td> <td>✕</td> </tr> <tr> <td>ボリューム(バラエティ)</td> <td>✕</td> <td>-</td> </tr> </tbody> </table></div> <p>概ねデザイン可能性に関しては問題ありませんが、粒度がまだ荒いです。これは、この枠組みが優秀ではないということでなく、あくまでデザイン行為を円滑化するための枠組みとして利用するには難がある、ということです。</p> <h1 id="「Rules Of Play : Game Design Fundamentals」のシステム"><a href="#%E3%80%8CRules+Of+Play+%3A+Game+Design+Fundamentals%E3%80%8D%E3%81%AE%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0">「Rules Of Play : Game Design Fundamentals」のシステム</a></h1> <p>ゲームにおける「システム」と呼ばれるものに関して、下田賢佑さんが解説をしていました。島国大和さんの「ビデオゲームを構成する3つの要素」の「システム」と同じものを指している言葉かどうかは明確ではないですが、枠組みとして利用可能かどうかを見ていきます。</p> <ul> <li><a target="_blank" rel="nofollow noopener" href="https://note.mu/kensuke_shimoda/n/n8c9dee888876?magazine_key=mcbd22e6d768d">ゲームデザイナーの仕事(2)〜ゲームプレイとゲームメカニクス〜|下田賢佑|note</a></li> </ul> <p>こちらの解説は、「Rules Of Play : Game Design Fundamentals」(Eric Zimmerman / Katie Salen Tekinbas, 2003)という書籍で解説している内容に準拠したものになっており、システムを「形式的システム」「体験的システム」「文化的システム」の3つに分けており、それぞれ以下のような説明がされています。</p> <div class="table-responsive"><table> <thead> <tr> <th>システム</th> <th>システムがもつ共通な性質の説明(内包)</th> <th>具体例(外延)</th> </tr> </thead> <tbody> <tr> <td>形式的システム</td> <td>なし</td> <td>チェスのルールそれ自体</td> </tr> <tr> <td>体験的システム</td> <td>なし</td> <td>プレイヤー間のインタラクション、またはプレイヤーの置かれた環境。プレイヤーの戦術的なインタラクション</td> </tr> <tr> <td>文化的システム</td> <td>なし</td> <td>この世で行われる全てのチェスのゲームをオブジェクトと見なし、それらプレイの積み重ねが作り出すコンテクストが、時代環境との間に相互に影響を与える様</td> </tr> </tbody> </table></div> <p>「形式的システム」が、いわゆる「ルール」に相当するようで、これ以外の「体験的システム」「文化的システム」に関しては、ゲームデザインによって生み出される成果物から発生する事象であり、直接デザインされる成果物ではないように見えます。よって、今回の目的として、この枠組そのものからは「ルール」という要素しか取り出せず、上記の「ビデオゲームを構成する3つの要素」の「システム」と対応します。</p> <p>「ルール」をさらに分解する必要はありますが、ここでは一旦議論を止めて次に進みます。</p> <h1 id="「The 7 Elements of Game Design」"><a href="#%E3%80%8CThe+7+Elements+of+Game+Design%E3%80%8D">「The 7 Elements of Game Design」</a></h1> <p>Graham Dolle さんが「The 7 Elements of Game Design」という記事を公開しています。</p> <ul> <li><a target="_blank" rel="nofollow noopener" href="https://medium.com/@cbear_wallis/the-7-elements-of-game-design-ad94383006fb">The 7 Elements of Game Design - Graham Dolle - Medium(英語)</a></li> </ul> <p>タイトルを直訳すると「ゲームデザインの7つの要素」です。</p> <p>ここで挙げられている要素とその説明を表にしたものが以下のものです。</p> <div class="table-responsive"><table> <thead> <tr> <th>要素</th> <th>要素がもつ共通な性質の説明(内包)</th> <th>具体例(外延)</th> </tr> </thead> <tbody> <tr> <td>Space(空間)</td> <td>変化可能な要素としてのゲーム世界。逆に言えば、変化可能な要素の集まり</td> <td>チェスにおける駒と盤面</td> </tr> <tr> <td>Mechanics(メカニクス)</td> <td>「空間」を変更または表示するために使われるルールと構造</td> <td>「パックマン」における「ドットに触れると食べる」</td> </tr> <tr> <td>Implicit Narrative(明示的物語)</td> <td>デザインされた物語</td> <td>「ウォーキング・デッド」シリーズのストーリー</td> </tr> <tr> <td>Explicit Narrative(暗黙的物語)</td> <td>ゲーム空間が変化するような一連のエピソードにプレイヤーがどのように反応し、どのように関与するかによって作られる物語</td> <td>「マインクラフト」において、洞窟を見つけた話や、溶岩でいっぱいのゾンビ地獄があった話</td> </tr> <tr> <td>Feedback(フィードバック)</td> <td>ゲーム空間の状態の変化に応じて発生するイベント</td> <td>銃を撃つときに画面が揺れたり、効果音が鳴る</td> </tr> <tr> <td>Pacing(歩調)</td> <td>デザイナーによってデザインされた通りにゲーム空間が変化、進行する意図的な一連の流れ</td> <td>「マリオ」を通してプレイすると、メカニクスが増えていくにつれて、ステージは難しくなる</td> </tr> <tr> <td>Interface(インターフェース)</td> <td>ゲーム空間を図示する方法、およびプレイヤーによるメカニクスの実行方法</td> <td>アーケードゲーム</td> </tr> <tr> <td>Variety(多様性)</td> <td></td> <td></td> </tr> </tbody> </table></div> <p>TODO</p> mozukichi