「ワクチン戦記」の記事 - Crieit

ワクチン戦記 Wave１

2021-05-24T22:52:17+09:00

5月24日
ワクチン接種初日
ワクチンの予約は6名
たった6名ですが、すべて手探りの状態のため敢えての6人。
決して2週間前に予約が6人だったからじゃないんだからね！
午前鳴りやまぬ電話。高齢者からのワクチンの電話である。
戦略としては「当院はワクチン希望者は断らない」という方針にしている。
なので初診の方からも連絡が来る。

「高血圧なんですが接種できますか？」
「頼む、主治医に聞いてから電話くれ。。（問診表に主治医に接種していいといわれましたか？の欄があります。）」

「ワクチンはファイザーですか？」
「コロナワクチンナビにもファイザーと書かれているし、報道も現時点ではファイザーと報道している。」

「もっと早く打てないんですか？」
「他にやってくれるところを探してくれ」

など美しき日本がそこにある。市のコロナワクチンコールセンターはもっと地獄だろう。
本当にお疲れ様です。

11時30分ごろ本日の看護師からＬＩＮＥ

「人身事故オワタ」

「タクシー代は経費にするからタクシーできて！」

希釈は結局自分でする事になった。

接種開始は13時がが12時に来る高齢者が数名。「休ませて！」

接種券をタブレットでバーコードを読み取ったあと数字もＯＣＲしないといけない仕様なのだがＯＣＲの精度が低い。

そして、認識も鈍いくせに手入力ができない地獄の仕様。予約システムなんかよりこっちの方が炎上してほしい。

無事接種開始、高齢者は付き添いが数名来るので思ったより待合が混雑してしまったのは反省点。

30分で12人は少し厳しいか？

5月25日

電話回線で機会損失をしているのではないか？
そう考え固定回線で契約しているソフトバンクに電話
ISDNにしますか？
６４、４６、いちにっぱにするの？
脳死でルーターを購入。ありがとうお買い物マラソン。

手違いで24人の予定が30人に。
ワクチン多めに頼んでよかった。

どんどんうまる予約枠。
来週からは枠保増やす。医師、看護師を秒で確保。
育休ママさんマジ最強、ありがとうございます。
これで週100人までは行ける。

予約台帳を
・仮予約
・本予約
としていたのですが本予約に一元化
さようなら手動ＲＤＢ
仮予約の人に大体この日に接種券来るからここで打つよ！と電話。完了ＰＭ9時。
ちなみに院長一人でやりました。（50件）

5月26日

本日と明日は休診日。
病院の電話は院長に転送されます。
電話結構なります。20件。
しかもSIMは楽天モバイル。家は一部圏外。
そういや、コロナワクチンには５Gチップが入っているらしいという噂があるが、ワクチン接種を受けた僕の体に異常はない。
きっと、もしそれが本当なら僕のワクチンに入っているのは楽天モバイルの５Gチップなんだろう。
取りこぼしがあってはいけないので全部コールバック。
これは電話代が通話代金で死ぬのでは？？と考え、UQモバイルの10分かけ放題プランを契約した。
手元に台帳が無いので接種はワクチンの発注の関係で再来週になることと詳しい日時は金曜日連絡するという返事をする。
予約がとれるだけで安心しましたと感謝される。
「癌を心配して癌じゃないですよ。ただのほくろですよ。」といった時より安心している。
みんなやはり困っている。

念のために保険で声をかけていた看護師さんが来れると連絡。
2人体制で接種できることに。
人件費は倍になるけど、接種を看護師さんにお願いして、僕がカウンターに立ち問診表などを行うことで高速化できそうなどと妄想した。

ワクチン戦記 Wave0

2021-05-17T18:56:42+09:00

Wave 0
4月30日
市から5月12日 87歳から接種券を送付予定と連絡が来る。

5月1日
紙ベースの予約システムを作成。運用開始。院内掲示物のみ。
診察後LINE＠で通知。ネットは混乱を見越し公表せず。
87歳という高齢のせいか応募ゼロ。24歳が1名間違えて予約。お断りのメールを書く。
連絡はまだない。

5月2日から5日
コロナワクチンマニュアルを熟読。
15分間待機時間の啓蒙動画を作成。IpadでYoutubeで流す。
これ登録者1000名買えば収益化プログラムくりあできるんじゃね？と邪悪な心が芽生える。
しかし、Ipad10台とか病院に置けないので計画は頓挫。

5月6日
GW明け。病院は、患者さんが休み明けで多い。
ワクチンの予約は2名。Twitterの開業医みんな予約パンクしてるとかマジ？
かかりつけではありませんがワクチン打てませんか？は来るんだけど予約少なくて不安になる。

5月11日
市に次の接種券は何歳まででいつくらいまでですかと質問。
2週間後に83歳くらいまでと返事を得る。
2週間で打てばいいのか＞少し安心だ。
87歳以上の予約は現在2名。

5月12日
87歳以上に接種券が郵送開始。どんとこい電話。
休診日だが電話転送し対応できるようにスタンバイ。
電話は1件のみ。ズコー。

市からFAX5月14日に83歳まで接種券を送ります。

え？

もしかして自民党のハゲのせいでスケジュール前倒し？

５月14日
ありがたいことに忙しい。しかし、通暁業務中にこれで接種は無理ゲーだ。
昼休みに接種することを決意。
病院を退職した看護師に電話し何とか応援に来てもらえることになる。

5月15日
５月２４日の週のワクチンの量を予約から決める。
なんと６人。ギリギリである。
ちなみに近所のウハ内科は６月末まで埋まっているらしい。
当院ピンチである。

５月１７日
従業員にワクチン接種の協力のお願い。
昼ごはん代１０００円に決める。
接種患者さんに電話。
ワクチンは金曜日に念のため６人分追加発注しておいた。
市に接種券の確認。
ＦＡＸ連絡より遅れています。

え？

5月18日
他市の患者さんから当院で受けれないかと相談。
すまん。技術的には可能ですという言葉で返事しておいた。
99歳の方が予約された。少し複雑な気分になる。
配送業者とシミュレーション。
接種券読み取り端末が届く、ドコモのDtabなんですが大丈夫？

予約20名

5月19日、5月20日
休診日。色々必要なものを想像して購入。
コロナワクチンナビに登録。

5月21日
コロナワクチンナビの効果かお問い合わせが多い。
ワクチン届く。2バイアル12人分。
従業員はワクチン2回目。業務ということでタクシー代は支給する。
あと、アセトアミノフェンも副反応の予防のため支給。

5月22日
メチャ電話きた。
電話対応マニュアルを制作し配布。ネット誘導も同時展開。
予約60名突破。
ちなみに1日最大で30人はこなせるので余裕はある。
なんとか黒字化できそう。少し安心。
5月29日からはもう少しワクチン増やせそうだ。

戦いはこれからです。

ワクチン戦記ワクチン前夜その１

2021-05-09T22:29:43+09:00

ワクチンの個別接種（かかりつけ患者を対象にワクチン接種を行う事業）をやることになった。
日本国民全員にコロナワクチンを！
そんな大規模なプロジェクト絶対一生ないし、せっかくだし記録として残しておこうと思う。

著者のクリニックについて

某関西の郊外にある弱小皮膚科クリニックです。

ワクチンをやると決めたわけ

ワクチン接種に手上げをした理由は、一言でいうと好奇心に負けた。
最初にコロナワクチンの接種のお願いが来て、経費計算とかオペレーションを考えるとどう考えても炎上案件なのだが、
人生一度きりだし、このお祭り参加しないと後悔するかな？と思ってしまった。
いかに効率よく患者さんを回すか？もしものトラブルをどうやって回避するか？ と考えた瞬間負けだった。
医師会に参加のFAXを送ってしまっていた。
人を助けたい！という思いもあるにはあるが、どっちかというとこのふざけた時代を1日でも早く終わらせたい。という怒りの方が強い。

よくある質問

どうせお金でしょ？

多くの方は、「お金を荒稼ぎするだろ？」と思われるかもしれない。
ワクチンを接種すると一人当たり国から2000円頂ける。
1日8時間営業、月20日稼働でワクチン全振りで営業する場合を計算してみよう。
1時間に10人接種する場合
80人×20日×2000円＝320万円
一見すごく儲かっているように見えるかもしれない。
では経費を入れてみよう
家賃 50万円

人件費
事務 3名 1000円×8時間×20日×3＝48万円
看護師 2名 2000円×8時間×20日×2=64万円

雑費 20万円
ざっくり計算すると130万～140万円手元に残る。
ココから税金とか色々惹かれて手取り100万残るか残らないかである。
実際の開業医は医療機器のローンなどでさらに数十万円引かれると思って欲しい。

確かにサラリーマンなどから見ると高給となるだろうけど、

クレーム（予約が取れないなど多分山ほど来ます。）
労務管理
万が一の時の責任
スタッフの教育、役割分担の作成

など考えると素直に集団接種に顔出しして、お金を少しばかりいただきながらお手伝いをする方がコスパはいい。
多分ほとんどの開業医は割に合わないと思っている。
だけど、やると手を挙げたのは少しでもい地域の人に役に立ちたい、かかりつけの患者さんの役に立ちたいという思いは必ずあるはずなので電話がつながらないとかできつく当たらないでほしい。

アナフィラキシーどうすんの？

アナフィラキシーは水虫とアトピーばかり診察している皮膚科医が対応できるの？内科じゃないの？
そう思われるかもしれませんが、アナフィラキシーは皮膚科の守備範囲です。
そこそこやってきたと思います。（遠い目）