ノーツ/ドミノの言語

2020-11-04に作成

 ノーツ/ドミノ(Notes/ Domino)で使用する主要な言語にはロータススクリプト(Lotus Script)とロータス式言語(Lotus 式言語、アットマーク関数)があります。ロータススクリプトは VBScript に似たところがある言語です。
 Windows上でノーツ/ドミノ サーバーを動かしていると、管理用のプログラムを VBScript や C# で書くことがあります。
 ここではこれらの言語をとりあげます。

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Do,While,Until : 繰り返します

Lotus Script 言語,VbScript 言語
Do ’ Exit や Goto がなれけば永遠に Do~Loop の中を繰り返します
 Exit Do ’ 直近の Do から抜けることができます
Loop
Do While 式 ’ 式が True のうちは Do~Loop の中を繰り返します
 Exit Do ’ 直近の Do から抜けることができます
Loop
Do Until 式 ’ 式が False のうちは Do~Loop の中を繰り返します
 Exit Do ’ 直近の Do から抜けることができます
Loop
Do
 Exit Do ’ 直近の Do から抜けることができます
Loop While 式 ’ 式が True のうちは Do~Loop の中を繰り返します
Do
 Exit Do ’ 直近の Do から抜けることができます
Loop Until 式 ’ 式が False のうちは Do~Loop の中を繰り返します
While 式 ’ 式が True のうちは While~Wend の中を繰り返します
 ’ Exit を使えません
Wend
Lotus 式言語
  • @While (条件式; 式1; ...; 式最大254); ※条件式が @True のあいだ式を繰り返します
  • @DoWhile (式1; ...; 式最大254; 条件式); ※条件式が @True のあいだ式を繰り返します

注意
@Do (式1; ...; 式最大254);
 ※名前は似ていますが @Do には条件式がないため繰り返しません

Chr (10) : 改行記号です

Lotus Script 言語
  • Chr (10) : プラットフォーム固有の改行記号に自動変換されます

注意
ノーツ/ドミノ サーバーに配置したアプリは、再コンパイルなしで複数のプラットフォームで動作します

VbScript 言語
  • vbCrLf : Windows プラットフォームの改行記号です
  • vbCr : Mac プラットフォームの改行記号です
  • vbLf : UNIX や Linux プラットフォームの改行記号です
Lotus 式言語
  • @Char (10) : 改行記号として扱われます
  • @Char (13) : @Prompt 内で改行記号として扱われます
  • @NewLine : 改行記号ですが、使用できないところがいくつかあります

ByVal : 値をコピーして受け取ります

Lotus Script 言語
  • 値のありかを受け取る(参照渡し)が規定ですが、ByRef と明記するとエラーになります
  • ByVal と記載するとコピーされた値を受け取ることができます(値渡し)
VbScript 言語
  • 値のありかを受け取る(参照渡し)が規定です。ByRef と明記することができます
  • ByVal と記載するとコピーされた値を受け取ることができます(値渡し)

変数の初期値

Lotus Script 言語
  • 数値型: 0
  • 文字値型: ブランク
  • Boolean型: False
  • オブジェクト型: Nothing
  • Variant型: Empty
  • List型: 初期化されません。アクセスする前に Redim で初期化します

注意
Variant型変数を Empty に戻すには、未使用の Variant型変数を利用します
例: Variant型変数 = 宣言したまま使用していない Variant型変数

VbScript 言語
  • Variant型: Empty

注意
Variant型変数を Empty に戻すには、Empty を使用します
例: Variant型変数 = Empty

Lotus 式言語
  • Variant型: Empty

””{}|| : 文字列定数をあらわす記号

Lotus Script 言語
  • ”文字列値”
  • {文字列値}
  • |文字列値|
VbScript 言語
  • ”文字列値”
Lotus 式言語
  • ”文字列値”
  • {文字列値}

Call : 関数を呼びます

Lotus Script 言語

() は省略できることが多いです
Call を省略するときは () も省略します
Call だけ省略し () を付けると、意味が変わります
次のとおり色々な書き方ができます

受け渡し値がないとき
* Call 関数名 ()
* Call 関数名
* 戻り値 = 関数名 ()
* 戻り値 = 関数名
* 関数名

受け渡し値があるとき(関数側の ByVal/ByRef 設定どおり)
* Call 関数名 (受け渡し値)
* Call 関数名 受け渡し値
* 戻り値 = 関数名 (受け渡し値)
* 関数名 受け渡し値

これはエラーになります
* 戻り値 = 関数名 受け渡し値

受け渡し値があるとき(常に ByVal を強制)
* 関数名 (受け渡し値) ’ Call を省略して () を付けます

VbScript 言語

Call を付けるときは () も付けます
Call を省略するときは () も省略します
Call だけ省略し () を付けると、意味が変わります
次のとおり色々な書き方ができます

受け渡し値がないとき
* Call 関数名 ()
* 戻り値 = 関数名 ()
* 関数名

受け渡し値があるとき(関数側の ByVal/ByRef 設定どおり)
* 戻り値 = 関数名 (受け渡し値)
* Call 関数名 (受け渡し値)
* 関数名 受け渡し値

受け渡し値があるとき(常に ByVal を強制)
* 関数名 (受け渡し値) ’ Call を省略して () を付けます

クラスの値を受け渡すと動作が変わります(アクセス権がどうの)

クラス名.パラメータ = 値
関数名 (クラス名.パラメータ) ’ クラス名.パラメータの値は変化しません

Argument in a Class 部分、ByRef and ByVal Parameters ページ

New : クラスからオブジェクトをつくります

New : クラスからオブジェクトをつくります

Lotus Script 言語
  • Set 変数 = New クラス名 ()
  • Set 変数 = New クラス名 (値)
  • Set 変数 = New クラス名
     ※最初に実行される New 関数は値を受け取ることができます
     ※New へ値を渡さないときは括弧を省略できます
VbScript 言語
  • Set 変数 = New クラス名
     ※最初に実行される Class_Initialize 関数は値を受け取ることができません
     ※クラス名のうしろに括弧をつけるとエラーになります

Const : 変更されない値に名前を設定します

Lotus Script 言語, VBScript 言語
  • Const 名前 = 値

注意
設定できる値部分には、計算式や変数を書くことができません
Const に限りませんが、標準で Lotus Script は Private になり、VBScript は Public になります

List,Listtag : キーと値のペアで記憶する連想配列(辞書、ディクショナリー)を使います

Lotus Script 言語
  • 宣言 : Dim 変数名 List As 型
  • 辞書? : True または False = IsList (変数名)
  • キーを追加 : 変数名 (キー) = 値
  • 既にキーが存在する? : True または False = IsElement (変数名 (キー))
  • 値を取り出す : 値 = 変数名 (キー)
  • すべて取り出す :
Forall 参照変数 In 変数
 キー = ListTag (参照変数)
 値 = 参照変数
End Forall
 ※参照変数は Forall で有効な特別な変数で Dim で宣言しません
 ※参照変数を更新すると In に続く変数の値が更新されます

Forall : 値の数だけ繰り返します
* キーを削除 : Erase 変数名 (キー)
* キーをすべて削除 : Erase 変数名
 ※キーは文字値になります
 ※一般的に List は配列よりも多くの値を保存できます

VbScript 言語
  • 言語として連想配列の機能がありません
  • Set 変数名 = CreateObject ("Scripting.Dictionary") として、オブジェクトで連想配列を使います
Lotus 式言語

連想配列の機能がありません

Class : クラスを定義します

Lotus Script 言語

Class クラス名 As 元クラス ’別のクラスから引き継ぐことができます

 ’最初に実行されます
 Sub New (変数名 As 型).元クラス (変数名 As 型) ’値を受け取ることができます
 End Sub

 ’最後に実行されます
 Sub Delete ()
 End Sub

 Public Sub 戻り値がない関数名 (変数名 As 型)
 End Sub

 Public Function 戻り値がある関数名 (変数名 As 型) As 型
  Me.戻り値がある関数名 = 戻り値 ’値を返します
 End Function

 Public Property Set プロパティ名 As 型
  変数名 = Me.プロパティ名 ’値を受け取ります
 End Property

 Public Property Get プロパティ名 As 型
  Me.プロパティ名 = 戻り値 ’値を返します
 End Property

End Class

※基本は Private、ByRef です。現在のクラスにある関数名、プロパティ名、変数名の先頭に Me.をつけておけばOKです

VbScript 言語

Class クラス名 ’独立したクラスとして作成します

 ’最初に実行されます
 Sub Class_Initialize () ’値を受け取れません
 End Sub

 ’最後に実行されます
 Sub Class_Terminate ()
 End Sub

 Sub 戻り値がない関数名 (変数名)
 End Sub

 Function 戻り値がある関数名 (変数名)
  戻り値がある関数名 = 戻り値 ’値を返します
 End Function

 Public Property Set プロパティ名 ’Set はオブジェクトを受け取ります
  Set 変数名 = プロパティ名 ’値を受け取ります
 End Property

 Public Property Let プロパティ名 ’Let はオブジェクト以外を受け取ります
  変数名 = プロパティ名 ’値を受け取ります
 End Property

 Public Property Get プロパティ名
  プロパティ名 = 戻り値 ’値を返します
 End Property

End Class
めい
※基本は Public、ByRef です。現在のクラスにあるプロパティ名の先頭に Me.をつけるときがあります

& : 文字列連結演算子

Lotus Script 言語
  • 文字値 = 値 & 値
  • 文字値 = 文字値 + 文字値

注意
& は両辺が null のときに null を返します
+ は片方が null のときに null を返します
+ は数値とあわせて使うと、数値に変換できる文字値を数値へ変換して加算することがあります

演算子ではないところで使用される&記号
変数名や値の末尾に&を付けると、Long型ですよという意味になります(接尾辞)
&B、&O、&H は、それぞれ2進数、8進数、16進数ですよという意味になります(接頭辞)
演算子として&記号を書くときは、コンピューターが困惑しないように、&の前後に空白をはさむとよいでしょう

VbScript 言語
  • 文字値 = 値 & 値

注意
& は両辺が null のときに null を返します

演算子ではないところで使用される&記号
&O、&H は、それぞれ8進数、16進数ですよという意味になります
演算子として&記号を書くときは、コンピューターが困惑しないように、&の後に空白をはさむとよいでしょう

Lotus 式言語
  • 文字値 = 文字値 + 文字値

ArrayAppend : 値をまとめて新しい配列をつくる

Lotus Script 言語
  • 動的配列 = ArrayAppend (配列, 単数値または配列)

エラーになる例
ArrayAppend (単数値, 単数値または配列)

動的配列とは
Lotus Script の配列は2種類あります
ひとつは Redim で値の数を変更できる動的配列、もうひとつは値の数を変えられない静的配列です

既存の配列に値を追加する方法
動的配列に入る値の数を変更するには Redim Preserve 配列名 (上限値) を使用します
初期値では下限値が 0 となっているため、上限値を 1 にすると配列の値の数は (0) と (1) の2つになります
Preserve キーワードを忘れると、配列の値が初期化されます
新しく増やした部分に値を入れるには 配列名 (Ubound (配列名)) = 値 とします

VbScript 言語

Lotus Script 言語の既存の配列に値を追加する方法でおこないます

Lotus 式言語
  • 配列 = 単数値または配列 : 単数値または配列

Rem : コメントを付けます

Lotus Script 言語
  • ’ 行末までコメント
  • Rem 行末までコメント
%REM
複数行コメント
%END REM

注意
%REM と %END REM は行の先頭から記載します

VbScript 言語
  • ’ 行末までコメント
  • Rem 行末までコメント
Lotus 式言語
  • REM {括弧で囲んだ範囲がコメント};
  • REM ”括弧で囲んだ範囲がコメント”;

Boolean,True,False : 論理型について

Lotus Script 言語
  • False は 数値の 0 と表すこともできます
  • True は 数値の -1 と表すこともできます
  • True と False を反転させるには Not を使います
  • Boolean型は False に初期化されます

注意
論理型を数値に置き換えると紛らわしいです
True や False を数値に置き換えることはできますが控えたほうが無難です

等しい

等しくない
<>, ><

VbScript 言語
  • False は 数値の 0 と表すこともできます
  • True は 数値の -1 と表すこともできます
  • True と False を反転させるには Not を使います

等しい

等しくない
<>

Lotus 式言語
  • @False は 数値の 0 と表すこともできます
  • @True は 数値の 1 と表すこともできます (Lotus Script 言語と異なります)
  • @True と @False を反転させるには !(びっくりマーク) を使います

反転(Not, !, ~しない, ~ではない)
重ねて使うと、否定の否定って何!?って、何だかわからなくなりそうです

等しい

等しくない
<>, ><, !=, =!

Asc,Uni,String,Chr,UChr,UString : 一文字を文字コードへ、またはその反対へ変換します

Lotus Script 言語
  • 数値 = Asc (プラットフォーム固有の文字値)
  • 数値 = Uni (ユニコード文字値)
  • プラットフォーム固有の一文字値 = Chr (数値)
  • プラットフォーム固有の一文字値 = String (1, 数値)
  • ユニコードの一文字値 = UChr (数値)
  • ユニコードの一文字値 = UString (1, 数値)
    Asc,Chr で扱う数値の範囲は 0 ~ 255
    String は一バイト文字または二バイト文字のコードのどちらでも使用できます
    Uni,UChr,UString で扱う数値の範囲は 0 ~ 65,535

エラーになる例
Asc (長さがゼロの文字値)
Asc (Null値)
UString (1, -1)
UString (1, 65536)

VbScript 言語
  • 数値 = Asc (文字値)
  • 一文字値 = Chr (数値)
Lotus 式言語
  • 文字値 = @Char (数値)
  • 文字の複数値 = @Char (数の複数値)
  • 改行 = @Char (10)
  • タブ = @Char (9)
    数値の範囲は 0 ~ 255

注意
@Ascii は Asc とは異なります
@Ascii はロータスマルチバイト文字セット (LMBCS) を ASCII文字にする関数です