書き手: きふわらべのお父ん
センチポーンは、コンピューター・チェスから、コンピューター将棋へ、輸入した技術。
コンピューター将棋では 2007年の将棋所での使用を確認できる。
(2006年の Bonanza でも使われていたかもしれない)
大元を辿ると、人間のチェスプレイヤーの ジークベルト・タラッシュ(1862年3月5日生 – 1934年2月17日没)の疑問 バリュー・オブ・ジ・エクスチェンジ、
つまり ルークの価値は小駒何枚分か? という疑問から始まる。
チェスの初心者(人間)が チェスを強くなろうとしたとき 教える技術の1つに
チェスの駒であるポーン(Pawn)1つが盤の上に残っているとき 1点 と数えるというのがある。
📖 Material: The values of the pieces
📖 チェスのあかつき > 将棋の駒がチェスにあった場合の駒の価値
コンピューター・チェスでも(人間のチェスと同様に)、ポーン(Pawn)を 1点 と数える。
どの駒が何点かは、特に決まりはなく、
登場時期の早さでは、将棋で駒に 点数 を付けたのは 谷川十七世名人が最初という話しも見るし、将棋新理論(1999年)という書籍を引用したネット記事もある。
それ以前は 角1枚と金銀の2枚換えなら金銀の方がお得、といったように ケース を丸暗記したのだろうと思う。
盤を初めて見たとき、
ここで、盤の上にある自分の駒を 1個1個数えて、
ポーンは1点で8個だから8点、
ルークは5点で2個だから10点、
と足していき、
相手の駒も 1個1個引いていった合計が マテリアルズ(Materials;駒割評価値)になる。
平手初期局面のマテリアルズは(数えるまでもなく) 0 点だ。
その後は
盤の上にある駒を 1個1個数えることはしない。
駒は 取ったり取られたりするものなので、
自分のポーンで 相手のルークを取ったので、
0 足す 5 は 5、
自分のポーンは 相手のビショップに取り返されたので
5 引く 1 は 4、
と いちいち数えるのではなく、
ポーンでルークを取れば 4点のお得なのだから 駒の交換値 は 4点、
0 足す 4 は 4
と勘定する。
ただし、人間は(カウントが苦手なので)いちいち数えないが、コンピューターは(カウントが得意なので)いちいち数える。
人間は そのうち ポーン 1.5 個分のように 小数点を使って(実数を使って)より細かく使いだす。
コンピューターで 実数 を扱うには 浮動小数点数 という技術を扱うが、 桁数の比較的短い整数 より処理が遅いし。メモリも食う。
そこで、
100倍して ポーン1個 100点 ということにすれば 引き続き 整数 で扱える。これが センチポーン。
1ポーン = 100点
2分の1ポーン = 50点
4分の1ポーン = 25点
これより細かい物は、端数が丸められて 精度を損ねるが、精度よりも、だましだまし使えるということの方が重要だ。
2023年のコンピューター将棋の上位ソフトでは、「歩1枚も差があれば負け(勝ち)では」、という感想も白ビールさんから聞く。
では どうするのかというと、今どきのコンピューター将棋の上位ソフトは 強くなるためには センチポーンではなく 勝率 を使う。
人間は最初から センチポーンを使ってないし、コンピューター将棋選手権では最初から現在までセンチポーンを使っていないし、
コンピューター将棋の上位ソフトも今では センチポーンを使わない。
ではどこでセンチポーンを使っているかというと、
過去の例としては、(昔行われていた)電王戦の評価値バー
現在の例としては、 将棋所のプロトコルの info コマンドの score cp
、
探せば コンピューター将棋エンジンの 駒割評価値 に残っている
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