2019-08-04に更新

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「そんなわけで、Apple と Amazon でインタビューする流れになっだけど、Google にもレジュメ出すべきだと思う?」

「なんかやりたいプロジェクトでもあんの?」

「いや、特にないけど流れかなと。Siri, Alexa と来れば、Google のアシスタント。あれ、名前あったっけ?それに、LinkedIn の広告で Machine Learning Engineer ってやたら出てくるのよね。この会社。」

「出してみたらいいとは思うけど、去年、インタビューの予定が詰まったストレスで、Google のオンサイトインタビューキャンセルしなかった?」

「おっと、完全に忘れてた、それ。まぁあの時は気持ちの準備不足だったしね。」

「流れというなら、Facebook は?」

「Facebook は特にこれと言っては。音声アシスタントとかやってないし、AI 研究部門はすごいけど、エンジニアが入れるところじゃないし。それに、今はプライバシースキャンダルがすごいじゃない?」

「まあ、出すだけ出してみれば?」

「やってみるよ。」

 

 

 

シューカツの鉄則

アメリカで就職活動をする上での基本かつ重要なことは、なるべく多くの会社からオファー(内定)をもらうことだ。つまり、複数の会社を同時に受けることだ。

そんなの当たり前だと思われるかもしれないが、日本以上にこの違いは大きい。

複数の会社を同時に受けるとストレスが等比級数的に増加するが、その利点は、まず、新しい仕事が見つかる確率が上がること。次に、もし一社からオファーをもらっていると、他の会社の面接を余裕を持って受けられること。そして、最も大事なのが、複数のオファーを競合させて、より良い条件を引き出せるようになるのだ。

僕はあまり経験がないのだが、このオファーの交渉というステップはアメリカでは当たり前に行われていることで、オファーを出す会社側もそれを踏まえて、予算上限目一杯のオファーというものはいきなりは出さないようにしている。雇用条件を交渉できる状態にしておかないとそれだけで不利を被ってしまうのだ。ここでの交渉は、年収にして 2〜300万円程度なら比較的簡単に変わってしまうので恐ろしい。それで四年程働けば預金口座の額が500万ほど変わることになる。(カリフォルニアでは大体税金で50%取られる計算になる。)

Google に応募

さて、そんなこともあって、日曜日の夜、手持ち無沙汰から Google のジョブリスティングを覗いてみた。シリコンバレー界隈でソフトウェアエンジニアの仕事を検索すると、常に数百件の募集があるのに驚かされる。

機械学習、AI などで色々見て回った後、結局どれもしっくりくるものはなかったので、とりあえず、Google Brain の Research Software Engineer に出してみた。「とりあえず」で出すようなところでは無いのだが、どこもあまり希望を見出せなかったし、日曜日の夜「何かした」感をもってさっさと寝たかったのでやっつけの応募になった。

Google からの返信は意外と早く、週が明けた月曜日にメールが届いた。メールをくれたこの女性、ジョアンナは署名欄で自分の役職を Machine Learning Sourcer†† としていた。メールには電話で僕のバックグラウンドの詳しい話を聞きたい旨と、彼女の Google Calendar へのリンクが貼ってあった。カレンダーには電話を受けられる時間の枠が候補として表示されていて、この枠のうち自分に都合のよいものをクリックして、名前と電話番号を入力すると電話の予定が確定となる仕組みだった。なるほど、多くの人とのやり取りを効率よく捌くために、アポイントメントなどの処理を自動化しているわけだ。

僕は彼女との電話を水曜日に設定した。ちょうど Apple のジェームズが設定したマネージャーとの電話が午前に入っていたので、その日の午後に設定して、この日は会社に出社せずに家から仕事をすることにした。これで煩わされずに電話ができるだろう。

さて。水曜日は緊張の日になる。

第五話へ続く。

 

 

 

脚注
スクリーニング

Google のような年間数万件にのぼる応募がある会社の場合、実際にはリクルーターから返信が来る確率はかなり低い。おそらく Google のことだから本当に見込みのない応募者は自動で弾いているだろうが、リクルーターも日々何十件という履歴書に目を通さなければならないので、各履歴書にかける時間は数秒、何か目を惹くキーワードを見つけるかどうかになる。この辺はこのトピックで著名な Gayle McDowell のページに解説がある。僕のレジュメはここまで簡潔ではないけれど、それでもとりあえずリクルーターには声をかけてもらえる。僕の予想ではその理由は二つ。一つ目は僕が機械学習の経験を持っていること。二つ目は僕が既に何度か(日本でのインターンの面接、ベイエリアでフルタイムの面接)受けていて、僕のメールアドレスが内部システムに登録されているからだろう。Google は生涯で三度まで面接が受けられて、再挑戦者はそれなりに新規挑戦者よりも連絡がもらえる確率が高いとされる。ちなみに、全くの新規で挑戦する場合は、知り合いなどを通じて内部推薦でリクルーターのスクリーニングをバイパスしないとまず連絡は来ないとも言われている。もし、これを読んでいる日本人の方で Google 本社で働きたい人は、まず Google Japan で働いている人と繋がりを持つことがスタート地点になるだろう。最近は就労ビザの取得も難しくなってきたので、Google Japan で働いて、本社転勤が現実的かと思われる。国際的に認知されている業績があればまた別だが。

Sourcer

Wikipedia によると Sourcer とは採用活動のうち、候補者を見つけ出し声をかける人のことだそうだ。


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第2回 はじまり
第3回 時勢
第4回 pow(10, 100)
第5回 電話そして電話
第6回 コーディングテスト - 練習編

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